ステップ1 – 報道分析

自社に興味関心があるマスコミ関係者を探し出す。

効果的な広報活動を行う上で重要なことは「誰に情報を伝えるか」ということです。マスコミ関係者であれば誰でもいいかというと、それは違います。

例えば、
金融を担当している記者に、化粧品の新製品情報を提供しても、全く興味を持たないでしょう。例えばあなたがIT企業の広報担当者なら、その分野を担当しているマスコミ関係者をまず探すところから始めるべきです。

私が以前、
海外留学会社の広報をしていた時の面白いエピソードがあります。ある時、その会社が新サービスを開発し販売を開始することになりました。広報担当の私に課せられたミッションは、この新サービスを日本経済新聞に報道してもらうことです。

当時、
駆け出し広報マンだった私は、広報のノウハウ本を読んで見よう見まねでプレスリリースを書き、日本経済新聞社の編集局にFAXで送ってみましたが、全く反応なし。

どうしたら取材が取れるか真剣に考えた結果、当時の私は一つの仮説にたどりつきまました。「もし、日経新聞の編集部に海外留学担当の記者がいれば、今回の新商品に必ず興味を持ってもらえるはずだ。」新聞社には多数の記者がいますが、それぞれ何らかの担当分野を持ち、そこを中心に取材活動を行なっています。ただ問題は、どうやって海外留学担当の記者を探すかです。当然ながら、どの記者が何の分野を担当しているかなんて、世の中どこにも公開されていません。

そこで私は、過去の日経新聞を1年分、すみからすみまで目を通しました。すると、海外留学の記事がいくつか掲載されているではありませんか。もちろん自社の記事ではなく、競合他社や業界動向などに関する記事です。その中には署名記事(注:記事の最後にそれを書いた記者の名前が記載されている記事)もあります。これらを集めて分析すると、非常に面白いことがわかりました。なんと、海外留学について記事を書いている記者は、全て同じ名前の記者だったのです!

この人が海外留学担当の記者に違いないと私は確信し、その記者宛に恐る恐る電話をかけてみました。その時のやり取りはこんな感じです。


私:
「A(※フルネーム)記者、いらっしゃいますでしょうか。」

記者A:
「はい。私がAですが。どのようなご用件ですか?」

私:
「実はAさんが以前書かれた海外留学の記事を拝見して、お電話しました。」

記者A:
「私の書いた記事を読んで頂いたのですね。ありがとうございます。」

私:
「実は私、海外留学の会社で広報をしているものなのですが、この度、新しいサービスを開始する予定でして。もし、Aさんにご興味頂けるようでしたら、情報提供したいのです。」

記者A:
「なるほど。私の担当は学習塾なのですが、海外留学も私の取材の守備範囲です。その新サービス、どんな内容か簡単に教えてもらえますか。」


このように話が進み、その後取材が成立。数日後に日経新聞本誌朝刊にその新サービスの記事が大きく掲載されました。

「海外留学の話題は、海外留学を担当している記者に情報を提供すれば、取材になりやすい。」聞けば当たり前のことですが、これを意識して広報活動を行なっているPRマンは実は多くありません。まずは、過去のマスコミ報道を調査分析して、皆さんの会社や商品サービスに興味を持ってくれそうなマスコミ関係者をリストアップすることから始めましょう。

 

執筆者

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株式会社ベンチャー広報 代表取締役 野澤直人
20代でビジネス誌の編集責任者としてベンチャー経営者500人以上の取材を経験。その後、当時無名だった某ベンチャー企業で広報部門をゼロから立ち上げ、同社在籍中の8年間で朝日新聞、週刊ダイヤモンド、ワールドビジネスサテライトをはじめ毎年100~140件のマスコミ露出を通じて同社のブランディングに貢献。その実績とノウハウをもとに、業界でも珍しい、中小ベンチャー企業専門のPR会社を設立。プレスリリースに頼らない画期的な手法で、多くの企業の広報活動を支援している。