「Kandai Entrepreneur Academy」のピッチイベント・Flap Day
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「Kandai Entrepreneur Academy」のピッチイベント・Flap Day

スタートアップのためのPR会社
ベンチャー広報の野澤です。

「Kandai Entrepreneur Academy」のピッチイベント・Flap Dayに審査員として参加してきました。「Kandai Entrepreneur Academy」は、関西大学とTIS株式会社が連携してイノベーション人材を養成するアントレプレナーシップ醸成プログラムです。

関西大学梅田キャンパス・KANDAI Me RISEさんとは以前、共催セミナーをしましたし、TISさんとは以前お仕事をしたことがあります。また、会場となった大阪イノベーションハブの施設運営の方とは先日お会いしたばかり。色々なご縁があり今回のイベントに関わらせて頂きました。

アイデアのブラッシュアップ、ユーザヒアリング、インタビュー設計、モックアップの作成、フィールドテストなど、Flap Dayまでに3ヶ月間の準備期間を経て、選りすぐられた以下の7チーム・8名の学生がプレゼンを実施。

いずれも学生らしい荒削りで熱のあるプレゼンでしたが、関西大学・経済学部1年の阿部綾美さんが発表した「高齢者に外出支援アプリを提供し健康促進を支援する」というビジネスプランを、ベンチャー広報賞に選ばせて頂きました。

正直、ピッチの冒頭で「高齢者向けのお散歩アプリです」聞いた時にはあまりピンと来ませんでした。でもよくよく考えてみると、結構面白いなと。

現在、若者向けのランニングアプリや親子向けのお出かけアプリはあるけど、高齢者をターゲットにした同様のプロダクトは見当たらない。徘徊高齢者を見守るアプリはあるけど、高齢者の健康増進を目的にしたアプリはない。「高齢者向けのお散歩アプリ」は意外に新しい視点だと感じました。

市場規模、収益性、プロダクトのポジショングなどを出発点に作られたビジネスプランは机上の空論になりやすく、僕はあまり好きではありません。やはり起業家にとって、そのビジネスをなぜやるのか=原体験(WHY)は極めて重要です。

ただ一方で、特に学生が自分の原体験をもとにビジネスプランを作ると、身の回りの課題を解決することを目的にしたこじんまりとしたものになりがちで、社会に大きなインパクトを与えない事業になることが多い。

その点、彼女の場合、「一緒に暮らす祖父母の外出機会が減っているのが心配」という彼女自身の原体験を出発点にしながらも、「日本人の健康寿命をのばす」という大きな社会課題の解決がゴールになっている点が非常にユニークでした。

また、これから急激に増加する日本の高齢者をターゲットにしているだけに、市場規模も大きく、もし成功すればビックビジネスになる点も事業のポテンシャルとして魅力的です。60歳以上の高齢者のほとんどが利用するアプリをもし作ることができれば大きくスケールするのは間違いないでしょう。

新規事業にはタイミングが重要で、遅すぎても早すぎてもいけない。その点、彼女は、高齢者のスマホ利用がここ数年で急速に増えているデータを示しており、このビジネスはまさに今、参入すべきタイミングである点も面白いと思います。

しかし、サービスやプロダクトについてはまだ未完成で、今後、大いにブラッシュアップが必要と感じました。例えば、お年寄りがスマホを見ながら街を歩いていたら”歩きスマホ”を助長することになり、とても危険ですよね。

彼女もピッチの中で、音声ガイドを活用する方法を提示していたけど、できればもう一歩踏み込んで、ARやVRを活用したサービスにしたらいいじゃないかと思います。また、高齢者にスマホのアプリを使ってもらうためには、かなりUI・UXを工夫する必要があるだろうし、プロダクト開発の難易度は高いはず。

このビジネスが成功した時の社会的インパクトは大きいけど、その分、実現難易度が非常に高い、チャレンジングなプランであることは間違いありません。でも、学生さんがやるなら特に、難しくても社会に大きなインパクトを与えるビジネスに挑戦して欲しいと思います。

表彰された阿部綾美さんだけでなく、ピッチイベントに参加した全ての学生さんにエールを送りたいと思います。今回のピッチイベントはゴールではなくスタートです。今回の経験を糧に、ぜひこれからも挑戦し続けてください。

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記事の執筆者
野澤直人
野澤 直人
代表取締役

大学卒業後、経営情報サービス会社に入社。マスコミ業界に転じ、ビジネス誌の編集責任者としてベンチャー経営者500人以上を取材。その後、海外留学関連のベンチャー企業に参画し、広報部門をゼロから立ち上げ、同社の急成長に貢献する。2010年に株式会社ベンチャー広報を創業。以来10年間でクライアント企業は400社を超える。著書に『【小さな会社】逆襲の広報PR術』(すばる舎)。

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