社長取材の獲得を目指すならドラマがわかるプロフィール資料の作成を

社長取材の獲得を目指すならドラマがわかるプロフィール資料の作成を

スタートアップのためのPR会社 ベンチャー広報の堀北です。

皆さんは自社の社長のインタビューをメディアに提案するとき、どのような資料でアプローチしていますでしょうか。なかには事業紹介用の報道資料をそのまま持って行く方がいるかもしれません。社長の簡単な経歴や事業内容だけだと人となりやドラマが伝わらず、媒体やコーナーによっては取材を全く検討できないということもあり得ます。

そのような機会損失を防ぐために、今回はメディアに提供が必要な情報とは何かを紹介します。

生年月日や出身地は略歴に必須

多くの媒体に社長インタビューコーナーはあり、媒体によって事業を中心に紹介するのか、人物のストーリーにフォーカスするのかは変わってきます。しかし両者とも担当記者に「この人は面白いから会って話を聞いてみたい」「こういう経験があるからこそ今このような事業を行っているのか!」と興味を持ってもらうことが必要です。

社長の取材を提案するときは「社長プロフィール資料」をA4で2、3枚までにまとめることをおすすめします。最初のページには事業内容や社長のドラマの一番面白いと思ってもらえるポイントを見出しに入れ、顔写真と略歴、そのあと詳しく社長のストーリーなどを紹介していくとわかりやすく、読みやすいでしょう。

略歴には、X年に○○社を退職してX年に起業、X年に○○の事業を開始…といった事業の話だけを入れている資料をよく見かけます。ですがこれだけだと社長がどの程度若い方でどのような人生を歩んできたかなどイメージできません。生年月日と年齢、出身大学と学部(出身高校)、出身地と在住地も入れておくと、大まかなバックグラウンドをつかめます。

生年月日や年齢を資料に入れていないと、基本的な情報すら載せていない企業は取材の検討を見送ろう、ということにもなりかねません。また出身地や出身校を書いておくと、記者によっては自分と同郷、あるいはゆかりがあるという共通点をきっかけに一気に関心を持つこともあります。

筆者がこれまでPRしてきたなかで、社長と記者の出身大学が一緒だったことがきっかけで、全国紙の取材が決まったことがありました。同窓生ではなくても、こういう高校や大学を出ているのになぜ今の仕事をしているのだろうか、など経歴の背景を探るきっかけにもなります。

メディアが好む「人間くさくて身近な苦労話」

では略歴のあとに入れる詳しい社長のストーリーはどのような内容にすればいいでしょうか。

筆者が意識しているのは、社長の人間くさくて身近な苦労話をいかに入れ込むかです。メディアは社長の成功ストーリーではなく、成功するまでの苦労話を好みます。それは読者である私たちが、成功者の苦い経験や失敗談やそこからどのように成功を手に入れたのかというドラマチックなストーリーに共感し、引き込まれるからです。また苦労を乗り越えてがんばる社長はメディアも応援したくなります。

皆さんもさまざまなインタビュー記事や番組で社長の苦労話を見聞きしたあと、気づけばその会社や事業内容が気になりファンになっていた、ということはないでしょうか。逆にエリート校を出て誰もが知る大企業に就職し、「私は失敗や苦労を一度もしたことがない」という成功者の話は少々鼻につき、自分とは遠い世界の人だと興味を失う方もいるかと思います。

先日筆者がある50代のベテラン記者に取材を提案したとき、「10代や20代のうちから社会貢献意識が高く、苦労なく起業する若い人はすばらしいが、世の中そのような人ばかりではないし自分たちの世代には理解が難しい」と話していました。

若い社長だと人生の浮き沈みがまだない方が多いかと思いますが、ずっと順風満帆ではなく学生時代にやんちゃして親に迷惑をかけたり、受験や就職活動でうまくいかず自信が持てなかった、といったストーリーの「谷」があると、そのあとの成功の「山」との落差があり面白く読めるということでもあるといいます。

プロフィール資料を作成し取材を提案する前に、あらためて自社の社長にヒアリングしてどのようなドラマをたどってきたのかお聞きいただきたいと思います。幼少期からどのような人生を歩んできたか、そのとき何を考えていたのかなどカジュアルに話してもらいながら、一緒に丁寧に振り返る作業が必要です。

社長ストーリーは幼少期から振り返り人となりを掘り下げよう

筆者の記者時代の経験と日頃のメディアとの会話で聞く話をもとに、自社の社長にヒアリングで聞いた方が良い質問の例と、引き出せると良いストーリーの例を3つ紹介します。

質問の例1)幼少期や中学高校時代はどのような子どもだったか
→ストーリーの例:
・九九が覚えられないくらい勉強が苦手だったが、ある出会いをきっかけに勉強が好きになり成績がクラスでトップになった。
・両親の離婚をきっかけにいじめに遭ったが、周囲を見返したいというのが大きなモチベーションだった。

質問の例2)子どもの頃両親はどのような仕事をしていて、自分は何を考えていたか
→ストーリーの例:
・親が上司に頭を下げる姿を見て、将来は絶対にサラリーマンにはならず社長になりたいと考えていた。
・両親が営んでいる農家がつねに人手不足で困っていたので、いつか両親を助けたいと思っていた。

質問の例3)起業当初に一番苦労したのはどんなときだったか
→ストーリーの例:
・オフィスには電話1本しかなく、社長自ら顧客からのクレームを受けていた。
・最初は営業しても門前払いで受注できず、同業で会社を営み信用力があった親の名前を出さないと仕事がとれないのが屈辱だった。

その他にもさまざまな質問を投げかけてストーリーを掘り下げ、「泣ける」話やその人を応援したいと思うようなエピソードを具体的に引き出すことが大切です。子ども時代から現在まで一環してどのような人となりなのか、どの経験が今の事業を始めた原体験なのかを整理したうえで、メインのエピソードを3つ程度にしぼりましょう。もちろん企業の信用を失うような内容は世の中に出せませんし、社長本人が人に知られたくないと思う話はメディアに伝えない配慮も必要です。

普段から、人物に密着するテレビ番組や社長のドラマを取り上げるインタビュー記事をよく見ていると、メディアが取り上げやすいストーリーの傾向を知ることができます。例えば「情熱大陸」や「セブンルール」といった番組や、朝日新聞デジタル版「魂の中小企業」や日刊ゲンダイ「語り部の経営者たち」などです。自分がどうしてこの人のストーリーにひかれたかなどメモしておくと良いでしょう。

媒体によっては社長がこれまで影響を受けた人物や書籍、趣味などを切り口にインタビューするコーナーもありますので、資料の最後にはそのような情報もアラカルトとして短く入れるとアプローチ先が広がり、興味を持ってもらいやすくなります。

実際にどのようなエピソードがメディアにササりやすいかなどわからずお困りの際は、ぜひ当社にお問い合わせください。

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記事の執筆者
堀北 未来
堀北 未来
シニアPRコンサルタント・マネージャー

大学卒業後、地方新聞社の記者として取材や編集レイアウトを約10年間経験した後にPR業界に転身。自治体、省庁関連団体、人材コンサルティング、電子機器メーカー、証券など上場企業から中小・スタートアップ、行政まで幅広い業務を担当し、ベンチャー広報に入社。教育問題や地域活性化、働き方にからめたPRで全国メディアでの報道実績が多い。

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