「ファクトブック」と「プレスキット」の違いと作り方のコツ

「ファクトブック」と「プレスキット」の違いと作り方のコツ

スタートアップのためのPR会社
ベンチャー広報の野澤です。

広報活動に必要な「ファクトブック」と「プレスキット」。

どちらもメディア対応に使われる資料ですが、その役割や目的は大きく異なります。違いを正しく理解しないまま作成してしまうと、せっかくの情報も十分に活かされません。

本記事では、両者の違いを整理したうえで、それぞれの具体的な作り方と押さえるべきポイントをわかりやすく解説します。

ファクトブックとプレスキットの違い

広報さんの中には、この2つを混同している方も少なくありませんが、中身や目的が違います。情報が重なる部分もありますが、厳密には別物と考えてください。

まず内容の違いです。

ファクトブックは企業概要や業績情報、事業戦略などを、図表を使って客観的にわかりやすくまとめた資料のことです。「報道用基礎資料」と言われることもあります。一方、プレスキットは、報道のために利用される画像、ロゴ、動画素材、最新のプレスリリースなどをまとめたものです。

次に目的の違いです。

ファクトブックは、報道関係者を対象に、自社の理解促進を目的に作成されます。一方、プレスキットは、記者さんが記事を書く際に必要な情報を提供し、より正確な記事を書いてもらうことが目的のツールです。

ファクトブックの作り方

ファクトブックには6つの情報を盛り込みます。

①企業の歴史と沿革
②ビジョンとミッション
③主要製品やサービス
④業績データ
⑤従業員・福利厚生
⑥連絡先

①企業の歴史と沿革

創業からの主要な出来事を時系列で記載します。例えば、創業年、拠点開設、重要なプロジェクトや製品のローンチなど、会社の発展を追う形で記述します。この部分をしっかりと書くことで、企業の信頼性や実績を示すことができます。

②ビジョンとミッション

その企業が何を目指しているのか、どのような価値観を持っているのかを具体的に示します。例えば、「持続可能な社会の実現を目指す」や「顧客第一主義を貫く」といった具体的なビジョンやミッションを記載してください。これらを明確にすることで、企業の方向性や価値観が一貫して伝わります。

③主要製品やサービス

商品の特長や、サービスの内容、競合他社との違いなどを具体的に記載します。これにより、企業の強みや差別化ポイントを明確にすることができます。

また、製品やサービスの説明には、顧客の声や導入事例などを盛り込むことで、実際の利用状況や効果を示すことができます。企業の製品やサービスがどのように役立つのかを具体的に伝えましょう。

④業績データ

売上高や利益の推移、成長率などをまとめましょう。報道関係者が、会社の業界内での立ち位置や成長性を把握しやすくなります。メディアも、衰退している企業よりもこれから成長していく企業を積極的に取材する傾向があります。「会社が伸びている」ことをきちんと示せるようにしましょう。

特に、無名のベンチャー・スタートアップは、残念ながらメディアから信頼されにくいので、業績などのデータを示せる範囲で示して、信頼を獲得するようにしてください。

⑤従業員・福利厚生

従業員や福利厚生についても触れておきましょう。従業員の推移や構成比、福利厚生の内容などを説明します。例えば、従業員数の増減や、男女比、福利厚生制度の具体例などを記載します。

企業の姿勢というのは、事業とかビジョンだけではなく、福利厚生や組織文化にこそ表れるものです。働きやすさや、人材への投資状況を示すことで、報道関係者がその企業に対して信頼感を持つようになります。

⑥連絡先

最後に、連絡先情報を記載します。広報担当者の連絡先や、問い合わせ先の情報を具体的に示します。特に、担当者の氏名や役職、電話番号、メールアドレスなどを詳細に記載して、メディア関係者が迷うことがないようにしましょう。

ファクトブック作成のポイント

1. 読みやすい量かどうか

情報量が多すぎると読み手が疲れてしまうので、必要な情報を簡潔にまとめることが重要です。ファクトブックは、情報を網羅することが目的ですが、あまりにも詳細すぎる情報を盛り込みすぎると、読み手が理解しづらくなります。そのため、必要な情報を簡潔にまとめ、読みやすい量に調整することが大切です。

2. 分かりやすいビジュアルかどうか

グラフや図表を使って、視覚的に情報を伝えることで、理解しやすくなります。

例えば、業績データや統計情報を示す際には、数字だけでなく、グラフやチャートも使って視覚的に情報を伝えましょう。また、製品やサービスの説明には、写真やイラストを使うことで、読者が実際の製品やサービスのイメージを持ちやすくなります。

3. 更新しやすいフォーマットかどうか

企業の情報は常に変わるものなので、定期的に更新できるようなフォーマットを選ぶことが大切です。

例えば、パワーポイントを使って作る場合は、マスタを作っておくのがオススメです。いつでも誰でも編集可能にしておくことが更新しやすさのポイントです。

プレスキットの目的

プレスキットは、画像、ロゴ、動画素材、最新のプレスリリースなどを記者さん向けにまとめた資料です。これがなぜ必要かというと、主に2つの理由があります。

ひとつは、情報の統一性を確保するためです。プレスキットを作成することで、メディアに提供する情報を統一することができ、正確性が高まります。企業のブランドイメージが統一されるわけですね。

ふたつ目は、メディア対応の効率化です。プレスキットがあることで、メディア関係者が必要な情報を迅速に入手できるようになるため、取材や報道がスムーズに進みます。これにより、メディア対応にかかる時間と労力が削減され、広報担当者は他の重要な業務に集中することができます。

スタートアップで取材件数がそれほど多くない企業の場合、プレスキットを作る必要性はそれほど高くありませんが、取材件数が多いBtoC企業の場合、プレスキットの整備は不可欠だと思います。

プレスキットの作り方

プレスキットに盛り込むべき内容は次の5つです。

①最新のプレスリリース
②企業概要
③製品やサービスの詳細
④画像やロゴの高解像度データ
⑤担当者の連絡先

この5つです。順番に解説していきます。

①最新のプレスリリース

プレスキットには最新のプレスリリースを掲載します。これにより、メディア関係者は直近の重要な発表内容を把握できます。例えば、新製品の発表や重要な人事異動、業績発表など、企業にとって重要なニュースをプレスキットに含めることで、メディア関係者は最新情報を基に取材や報道を行うことができます。

②企業概要

次に、プレスキットには企業の概要を掲載します。企業の基本情報、歴史、ビジョン、ミッションなどですね。この部分は、ファクトブックとかなり重なると思います。

③製品やサービスの詳細

製品やサービスの詳細を記載します。製品やサービスの特長、競合他社との差別化ポイント、顧客の声や導入事例などを具体的に記載することで、企業の強みを明確に伝えることができます。もちろん、取材のネタにしやすいかという視点が重要です。単に強みを伝えるだけではなく、「この製品はこんな社会課題を解決してますよ」といった社会性を伝えることも重要です。

ただし、営業資料のように、機能や価格の良さだけを伝える資料にはしないでください。記者さんによっては、「ああこの会社はウチに宣伝してほしいんだな」と思って、距離を取られてしまいます。我々がやっているのは、営業ではなく、広報PRです。この点を忘れないでください。

④画像やロゴの高解像度データ

プレスキットには画像やロゴの高解像度データを掲載することが重要です。最近は動画も用意する企業も増えています。メディアで使用できる視覚素材を提供することで、記事やニュースでのビジュアル表現が豊かになります。企業の情報がより魅力的に伝わりますし、報道関係者も画面映えするかどうか、記事にできるかどうかを、簡単に判断できるようになります。

Web媒体では、記事を書くときに必ず写真や画像を必要としますので、プレスキットがあると特によろこばれます。

⑤担当者の連絡先

プレスキットには広報担当者の連絡先を明記します。これにより、メディア関係者が必要な情報を迅速に問い合わせることができ、円滑なコミュニケーションが図れます。担当者の氏名、役職、電話番号、メールアドレスなどを具体的に記載してください。

プレスキット作成のポイント

1. シンプルにわかりやすく

まず、プレスキットはシンプルにわかりやすく作成することが重要です。情報を簡潔にまとめ、誰が読んでも理解しやすいようにしてください。複雑な表現や専門用語を避け、平易な言葉で情報を伝えることを心がけましょう。情報を視覚的に整理するために、箇条書きや図表を活用することも効果的です。

2. 常に最新情報にアップデートする

プレスキットは常に最新情報にアップデートすることが重要です。企業の情報は常に変わるものであり、最新の情報を提供することでメディア関係者に正確な情報を伝えることができます。

3. よくある質問やお客様の声の追加

最後に、プレスキットにはよくある質問やお客様の声を追加することが効果的です。メディア関係者が抱きがちな質問を、あらかじめこちらで整理しておきましょう。企業の製品やサービスについての疑問を解消しやすくなります。

最後に

広報活動においては、情報の正確性と一貫性が不可欠です。また、これらのツールがあることで取材が獲得しやすくなり、記者さんの御社に対する印象も良くなります。

ファクトブックやプレスキットを整え、効果的な広報活動につなげていきましょう。

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記事の執筆者
野澤直人
野澤 直人
代表取締役

大学卒業後、経営情報サービス会社に入社。マスコミ業界に転じ、ビジネス誌の編集責任者としてベンチャー経営者500人以上を取材。その後、海外留学関連のベンチャー企業に参画し、広報部門をゼロから立ち上げ、同社の急成長に貢献する。2010年に株式会社ベンチャー広報を創業。以来10年間でクライアント企業は400社を超える。著書に『【小さな会社】逆襲の広報PR術』(すばる舎)。

野澤 直人
記事の執筆者
野澤直人
野澤 直人
代表取締役

大学卒業後、経営情報サービス会社に入社。マスコミ業界に転じ、ビジネス誌の編集責任者としてベンチャー経営者500人以上を取材。その後、海外留学関連のベンチャー企業に参画し、広報部門をゼロから立ち上げ、同社の急成長に貢献する。2010年に株式会社ベンチャー広報を創業。以来10年間でクライアント企業は400社を超える。著書に『【小さな会社】逆襲の広報PR術』(すばる舎)。

野澤 直人