PRで経営を加速させる方法とは?広報PR5つのステップ

PRで経営を加速させる方法とは?広報PR5つのステップ

中小・スタートアップのためのPR会社 ベンチャー広報の野澤です。 

広報を始めるときに「プレスリリースを出そう」と考えて、プレスリリースの書き方を知りたい、教えて欲しいというご相談をよくいただきます。
プレスリリースは書くだけでは意味がありません。

何のために書くのか、誰に読んでもらうのか、書いたあとはどう届けるのか…様々なポイントがあります。
漠然とプレスリリースを書くだけでは、「プレスリリースを書いているけど、取材もなければ問合せもない」ということも起こりえます。

そこで、今回は、経営にインパクトを与える広報PRの方法を5つのステップで解説します。

STEP1 : 報道分析

自社に興味関心があるマスコミ関係者を探し出す

効果的な広報活動を行う上で重要なのは、『誰に情報を伝えるか』ということです。
マスコミ関係者であれば誰でもいいかというと、それは違います。

例えば、金融を担当している記者に、化粧品の新製品情報を提供しても、その情報には興味を持たないでしょう。新聞社には多数の記者がいますが、それぞれが受け持つ担当分野を中心に取材活動を行なっています。
あなたがIT企業の広報担当者なら、その分野を担当しているマスコミ関係者を探すところから始めるべきです。

私が海外留学に関する会社の広報をしていた時に課せられたミッションは、『新サービスを日本経済新聞に報道してもらうこと』でした。
当時、駆け出しの広報パーソンだった私は、広報のノウハウ本を読んで見よう見まねでプレスリリースを書き、日本経済新聞社の編集局にFAXで送ってみましたが、全く反応がありませんでした。

どうしたら取材が取れるか考えた結果、
「もし、日経新聞の編集部に海外留学担当の記者がいれば、今回の新サ―ビスに必ず興味を持ってもらえるはずだ。」
という仮説にたどりつきました。

問題は、どうやって海外留学担当の記者を探すかです。

今でこそ、SNSやWebサイトでマスコミ関係者の情報が掲載されていますが、当時はどの記者がどの分野を担当しているかは一切公開されていません。

そこで私は、過去の日経新聞を1年分、すみからすみまで目を通しました。

すると、海外留学の記事がいくつか掲載されていることがわかりました。
もちろん自社の記事ではなく、競合他社や業界動向などに関する記事です。

その中の署名記事(注:記事の最後にそれを書いた記者の名前が記載されている記事)を集めて分析すると海外留学について記事を書いている記者は、全て同じ名前の記者だったのです!
この人が海外留学担当の記者に違いないと私は確信し、その記者宛に恐る恐る電話をかけてみました。

 私:「A(※フルネーム)記者、いらっしゃいますでしょうか。」
記者A:「はい。私がAですが。どのようなご用件ですか?」
私:「実はAさんが以前書かれた海外留学の記事を拝見して、お電話しました。」
記者A:「私の書いた記事を読んで頂いたのですね。ありがとうございます。」
私:「実は私、海外留学の会社で広報をしているものなのですが、この度、新しいサービスを開始する予定でして。もし、Aさんにご興味頂けるようでしたら、情報提供したいのです。」
記者A:「なるほど。私の担当は学習塾なのですが、海外留学も私の取材の守備範囲です。その新サービス、どんな内容か簡単に教えてもらえますか。」

 このように話が進み、その後取材が成立。数日後、日経新聞本誌朝刊にその新サービスの記事が大きく掲載されました。

『海外留学の話題は、海外留学を担当している記者に情報を提供すれば、取材になりやすい。』

聞けば当たり前のことですが、これを意識して広報活動を行なっているPRパーソンは実は多くありません。
まずは、過去のマスコミ報道を調査分析して、皆さんの会社や商品サービスに興味を持ってくれそうなマスコミ関係者をリストアップすることから始めましょう。

STEP2 : メディアプロモート

リストアップしたマスコミ関係者にコンタクトする

報道分析を通じて、自社に興味を持ってくれそうなマスコミ関係者のリストを作成したら、次は、彼らに連絡をして面会のアポイントを取ります。これをメディアプロモートと言います。
今回は電話でのメディアプロモートの方法について詳しく紹介します。

アポイントをとるコツは、「話しすぎないこと」

よく、電話で自社の商品・サービスについて電話で長々と説明するPRパーソンがいますが、これはNGです。
知り合いの記者が「ひどい広報担当になると、電話口でプレスリリースを上から下まで読み上げるような人もいる」とぼやいているのを聞いたことがあります。
こんな電話、百害あって一利なしですね。絶対にやめた方がいい。

何度も電話をしてやっと電話口に出てくれた相手に、このチャンスを逃すまいと焦る気持ちもわかります。
でも、マスコミ関係者は常に時間に追われて忙しいのです。
原稿を書いている最中かもしれないし、番組の放送中かもしれないし、締切直前でバタバタしているかもしれません。そんな相手の状況に配慮せず、いきなり電話をかけて、延々と話したら、普通、嫌われます。

ではどうしたらいいのでしょうか。

例えば、面識のない相手にアポイントを入れる場合、まず電話がつながったら、
「面白い情報があるので、今、1分だけ時間もらえませんか?」
と前置きして、伝えたい内容の要点だけを魅力的かつ簡潔に説明してください。

興味をもってくれたら、
「詳しくはお目にかかって説明させてください」と、アポイントの日時調整に入ります。

1分じゃプレスリリースの内容を全部説明できないよ、と思うかもしれません。

それでいいのです。

ここで重要なのは、「電話で全てを説明しない」こと。

電話の目的はあくまで「アポイントを取る」ことであって、
「その電話で取材のOKをもらう」ことではありません。

ここを勘違いしているPRパーソンが非常に多く、だからみんな失敗します。

1分のプレゼンで、そのプレスリリースの訴求ポイントだけを説明し、
相手が「もう少し詳しく話を聞いてみたい」と思った瞬間に、
「詳しいお話は直接お目にかかって」と言うからアポイントが取れるのです。

もし、「今は忙しくて会う時間ないんだよね」と相手にアポイントを渋られたら、
「では、詳しい資料をお送りしますので」と、
相手の名前、メールアドレス、直通の電話番号、FAX番号を聞き出してください。

そこまでできれば、ファーストステップとしてはOKです。

連絡先などの個人情報さえ収集できれば、継続的にコンタクトできますから。

STEP3 : メディアキャラバン

マスコミ関係者と面談して情報提供、取材依頼をする

マスコミ関係者にアポイントをとって面会し、取材の依頼をする活動を「メディアキャラバン」といいます。
受け身ではない「攻めの広報」をやろうとする場合、メディアキャラバンは必要不可欠でしょう。

ただ、巷にあふれる広報関係の書籍やセミナーでは、「メディアキャラバンが重要だ」と言いつつも、その具体的な手法やノウハウが説明されることはほとんどありません。
私から見ると、わざわざマスコミから嫌われるような間違ったメディアキャラバンをしているPRパーソンも多くいます。

では、「本来あるべき正しいメディアキャラバン」とはどんなものでしょうか。

①事前準備

忙しさにかまけて、何も準備をせずメディアキャラバンにいくPRパーソンも多いですが、これはいかがなものかと思います。
「訪問する相手の媒体が過去にどんな報道をしているのか」をきちんと調べてからいくべきです。
これはPRパーソンとして、最低限の礼儀だと思います。

テレビ番組なら、直近の放送内容を、
雑誌なら、過去数ヶ月分の特集くらいは把握しておく。
できれば、バックナンバーに目を通した方がベター。
新聞の場合、面会する記者が過去にどんな記事を書いたのか、その記者の署名記事を過去1年分くらい集めて、読み込んでおく。

書店や図書館、WEBを活用すれば誰でもできることです。
その上で、当日持ち込むPRネタを、相手にどんな切り口で説明したら効果的か、自分の中でイメージトレーニングを繰り返しましょう。

②メディアキャラバン当日

未熟なPRパーソンがやってしまうよくある間違いはここでも「しゃべりすぎる」ことです。
記者相手に、自社商品の魅力をこれでもかとまくしたてる広報パーソンがいますが、実は相手からすると実はうんざり、なんてことがよくあります。
こちらからの売り込みは面会時間の3割くらいにおさえて、7割は相手にしゃべらせるように心がけましょう。

特に、初めて面会する相手であれば、情報収集に力点を置くべきです。
例えば、相手の担当分野や興味関心のポイント、日頃の行動パターンや、過去の経歴、今の社内での役割やポジション等々、ヒアリングすべきことはいくらでもあります。

これらの情報を聞き出せるかどうかが、その後、相手と良い付き合いができるかどうかの分かれ目になります。

プレゼンについては、極端な話、持参したプレスリリースについての説明を最初の3分でやりきるくらいでも問題ありません。
自分がPRしたい内容を3分で魅力的に説明できなければそもそも広報パーソン失格です。

ただし、その際に必ずやって欲しいことがあります。
それは、面談中に必ず「このプレスリリースの内容は、取材になりますか?」と勇気を持ってド直球で相手に意見を聞くことです。
ビビってこれができない広報初心者も多いですが、キャラバンに行ったらこの質問は必ずしてください。

「いや〜、ちょっと難しいかな…」と、相手の反応がネガティブでもめげる必要はありません。
ここからが本当の勝負です。めげずに次の質問に進みます。
ただし、詰問調にならないよう、言い方はあくまでソフトに。

「取材にならない理由は何ですか?」
「どうしたら取材になるでしょうか?」とさりげなく聞いてください。

例え、その場で取材がもらえなくても、この2点について、きっちりヒアリングできればキャラバンは成功といえます。

後日、そのNGポイントを改善してまた再チャレンジすればいいのですから。

これを継続することで、PDCAサイクルが回り、徐々に取材獲得率が上がってきます。

STEP4 : PDCA

発信する情報やメディアリストを更新しながら、継続的にマスコミ報道を実現する

PRのネタを必死に考えて、プレスリリースを何度も書き直し、さまざまな媒体の過去の報道内容を調べ、記者・編集者の名前をリストアップし、彼らに直接電話をかけてアポを取り、面談を繰り返し、丁寧に取材依頼をする。

これだけ多くの時間と手間をかけて取り組んでも、すぐに成果が出ないこともあります。

でも、落ち込む必要はありません。

正しいやり方をしていれば、いずれ必ず成果は出ます。

まず、一連の活動の中で、皆さんの会社や商品・サービスに興味を持ってくれそうなマスコミ関係者の名刺が手元にあるはずです。
彼らの個人名と連絡先(直通の電話番号、メールアドレス)を新たに取得することができました。
これは、広報活動を行う上で非常に大きな財産です。

また、メディアキャラバンを通して、
「なぜ、今回のプレスリリースが記事にならないのか」というダメな理由をヒアリングできています。
また同時に、「どんな内容なら記事になる可能性があるのか」という、“今後どうすれば良いか”というヒントも直接教えてもらえました。

これらの情報を活かして、今後発信するPRのネタやプレスリリースの内容を改善すれば、次回からはより高い確率で取材をとることができるでしょう。

PRネタを考えてプレスリリースを作成し、アプローチ先を選定(計画)
電話や訪問でマスコミ関係者と直接接触する(実行)
マスコミ関係者からPRネタについての意見を聞く(評価)
その意見をもとに今後のPRネタを再検討(改善)

これが、広報活動におけるPDCAサイクルです。

正しい方法で広報活動を行い、PDCAサイクルを回し続ければ、改善を重ねることで、一歩一歩前進し、近い将来、必ず結果(=取材、マスコミ露出)につながります。

一方、メールやFAXで一方的にプレスリリースをばらまくだけでは、こういった知見は得られず、いくらやっても進歩はありません。
プレスリリースの無差別配信は早く卒業して、PDCAサイクルの第一歩を踏み出しましょう。

STEP5 : 報道連鎖

マスコミ報道の連鎖を起こすことで、大量のマスコミ露出につなげる

マスコミの人たちは、世の中の動きやトレンドに敏感です。
そのため、WEBニュース、新聞記事、テレビの報道によく目を通します。

他の媒体が報道したニュースを参考に自媒体の企画を考えたり、取材先を探したりすることも少なくありません。

象徴的なのは、テレビの情報番組における企画会議でしょう。
こうした会議では、会議室の机の上にスポーツ新聞や週刊誌の最新号をたくさん並べて、それを見ながら番組の企画を検討すると言われています。それを見れば、今の世の中の流行やトレンドがわかるからです。

実は、テレビの情報番組というのは最先端の情報を取り上げるメディアではありません。
WEBニュースや新聞、雑誌などで数多く報道され、世の中ですでに具体的な現象となっている事柄を後追いで報道するメディアなのです。

「今、この商品が話題なんですよ。ニュース性がありますよ」
と広報担当者がいくら言ったところで、それを証明するものがなければ、テレビ番組の制作側は関心をもってくれません。

例えばそこで、
「このテーマは最近、新聞や雑誌、WEBでたくさん報道されてますよ。注目されてますよ。だからそちらの番組で取り上げたら視聴者も喜びますよ(視聴率取れますよ)」と言えば、説得力が全く違ってきます。

つまり、テレビ番組から取材してもらいたいなら、急がば回れで、まずはテレビ以外のWEB媒体、新聞、雑誌に自社の情報を掲載する必要があるわけです。

WEBニュース、業界紙・専門誌は世の中への影響力が低いと考え、そういった媒体を軽視して、安易に全国紙やテレビ番組への露出のみを求める広報の方もいますが、あまり得策とは言えません。
特に、マスコミ露出実績がほぼないような中小ベンチャー企業が広報活動を行う場合、まず重視すべきは「質より量」。
数多くの媒体で報道されることが、最終的に、全国紙の新聞やテレビ番組での大きな露出につながります。

これこそが「マスコミ報道の連鎖」。
これを戦略的かつ意図的に起こせれば、中小ベンチャー企業の広報活動においては非常に大きなリターンが期待できるでしょう。

 

ベンチャー広報は、2010年の創業以来 500社以上の中小・スタートアップ企業の広報PRを支援してきました。
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記事の執筆者
野澤直人
野澤 直人
代表取締役

大学卒業後、経営情報サービス会社に入社。マスコミ業界に転じ、ビジネス誌の編集責任者としてベンチャー経営者500人以上を取材。その後、海外留学関連のベンチャー企業に参画し、広報部門をゼロから立ち上げ、同社の急成長に貢献する。2010年に株式会社ベンチャー広報を創業。以来10年間でクライアント企業は400社を超える。著書に『【小さな会社】逆襲の広報PR術』(すばる舎)。

記事の執筆者
野澤直人
野澤 直人
代表取締役

大学卒業後、経営情報サービス会社に入社。マスコミ業界に転じ、ビジネス誌の編集責任者としてベンチャー経営者500人以上を取材。その後、海外留学関連のベンチャー企業に参画し、広報部門をゼロから立ち上げ、同社の急成長に貢献する。2010年に株式会社ベンチャー広報を創業。以来10年間でクライアント企業は400社を超える。著書に『【小さな会社】逆襲の広報PR術』(すばる舎)。

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