スタートアップにも危機管理広報が必要です
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スタートアップにも危機管理広報が必要です

『広報会議』の2023年1月号で「危機管理と広報対応」の特集が組まれました。

冒頭で「不祥事ランキング2022年」を発表しているのですが、1位から10位のうち、大手企業以外の事案が半分近くを占めています。

1位は「園児送迎バスに置き去り、熱中症で死亡」、2位は「知床遊覧船の沈没」です。これを見ると、危機管理広報はもはや大企業だけのものではなく、未上場会社、中小企業、スタートアップでも、必要不可欠になってきました。

スタートアップのネガティブ報道やSNS炎上事例

とくに、急成長中のスタートアップはマスコミからネガティブ報道のターゲットになりやすい。自社の報道やメディア露出が多い、注目度の高い会社こそ注意が必要です。

最近は、SNSでの炎上も増えてますね。インターネットを検索するだけでも、スタートアップのネガティブ報道事例やSNS炎上事例がいくつも出てきます。

■meety
IT企業社員が性暴力?告発が泥沼化 会社側「事件性ない」示談成立を発表も…被害女性は不満爆発
https://www.j-cast.com/2022/11/25451173.html?p=all

■テックキャンプ
Mac100台ばらまくも実態はボロボロ…経営者YouTuber「マコなり社長」が行っていた大量リストラの波紋
https://smart-flash.jp/entame/153225

■キッズライン
わいせつシッター相次いだキッズライン なぜ社長は沈黙し続けたのか?
https://www.fnn.jp/articles/-/85494

■コインチェック
コインチェック経営陣、しどろもどろの謝罪会見。社長が筆頭株主なのに「株主と相談します」
https://www.huffingtonpost.jp/2018/01/26/coincheck-nem_a_23345106/

■CASH
質屋アプリ「CASH」一時査定停止 初日に3億円超の利用
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1706/29/news061.html

実は、スタートアップやベンチャー企業は、マスコミから批判されるリスクを潜在的に持っています。革新的な取り組みをしているがゆえに法整備が追いついておらず、法律的にグレーゾーンで事業をしていることがあるからです。

AirbnbやUberがその典型でしょう。そういった法的不備を突いて、ホテル業界がAirbnbを、タクシー業界がUberを批判するように、既得権をもつレガシーな業界がマスコミを使って攻撃してきます。

攻めの広報がうまくいき、自社の報道が増え、会社が急成長しているなら、次は守りの広報、危機管理広報に取り組む必要があります。あとは、会社の上場が近くなってきたスタートアップも危機管理広報を意識した方がいいでしょう。

自社のリスクに合わせて適切な準備をする

危機管理広報は、不祥事や炎上など、ことが起きてから慌てて対応しても間に合いません。
「万が一の危機に備えて常に準備する」
これが危機管理広報においてもっとも大切なことです。

ざっとリストアップしただけでも、やるべきことはこんなにあります。

  • 外部有識者とのネットワークを作る(危機管理広報の専門家、マスコミ内のブレーン、弁護士など)
  • 危機発生を未然に防ぐために、潜在リスクを洗い出す
  • SNS運用のガイドラインを作り社内で徹底する
  • 危機発生時の対応マニュアルを作り定期的にリハーサルを行う
  • 経営陣のマスコミ対応力を高める(模擬記者会見やメディアトレーニングなど)
  • 幹部社員の危機管理の知識と意識を高める(社内向けの危機管理セミナーなど)
  • これらを実行するには時間もお金もかかります。大企業や上場企業では、危機管理広報のコンサルタントを雇うなどして、毎年数百万円以上のコストを投下しています。

    スタートアップの場合には、危機管理にそこまでお金をかけるのは難しいかもしれませんが、自社のリスク度合いに合わせて、オーバースペックにならないように適切な準備をしておきましょう。

    実は、業界や企業ごとに危機が発生する確率などのリスク度合いには違いがあります。食べ物(食品メーカー、飲食店)や人の移動(鉄道会社、航空会社、自動車メーカー)など、問題が発生した場合、それが人の命に関わるような業界は、危機管理広報の重要性が高い。

    不祥事や事故で死者が出た場合には、対応を間違うと大企業でも倒産することがあります。雪印の事例は有名ですね。

    ・雪印集団食中毒事件、語り継がれる 「寝てないんだよ!」の逆ギレ会見
    https://www.excite.co.jp/news/article/E1456914662073/

    2022年に発生した「園児送迎バスに置き去り」と「知床遊覧船の沈没」。どちらも地方の小企業なのに、なぜ大手マスコミがこぞって報道したのかというと、人が亡くなっているからです。

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    記事の執筆者
    野澤直人
    野澤 直人
    代表取締役

    大学卒業後、経営情報サービス会社に入社。マスコミ業界に転じ、ビジネス誌の編集責任者としてベンチャー経営者500人以上を取材。その後、海外留学関連のベンチャー企業に参画し、広報部門をゼロから立ち上げ、同社の急成長に貢献する。2010年に株式会社ベンチャー広報を創業。以来10年間でクライアント企業は400社を超える。著書に『【小さな会社】逆襲の広報PR術』(すばる舎)。

    記事の執筆者
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