新聞社に昼間の電話はNG? メディアアプローチで記者に繋がる時間とは
元新聞記者が教える“ダメなPR”

新聞社に昼間の電話はNG? メディアアプローチで記者に繋がる時間とは

PRコンサルタントとして、日ごろ接している広報担当者の方からよく聞かれるのが、「メディアへ電話するベストな時間帯はいつ?」という質問です。確かにメディアごとに、忙しい日や時間があります。新聞社で外勤記者や編集記者を10年以上していた筆者が、意外と知られていない新聞社の内情を教えたいと思います。

新聞記者の出社は朝じゃない?

コロナ禍でテレワークが増えた昨今ですが、そもそも新聞記者は毎日出社しなければならないわけではなく、リモート中心に働いていました。同じ部署の記者がどこにいて、何の取材をしているか、上司に当たるデスクでさえも、逐一把握していないことが大半でしょう。

外出しない日も、原稿を書くだけのことは稀で、オンラインで取材や情報収集をしながら合間に記事を書いていると思われます。取材で外出する場合は、朝自宅から所属する記者クラブ(省庁や市役所など)や、取材先、会見先に直接向かうことがほとんどです。

その日の取材が終わり、夕方から編集部で原稿を書く記者もいれば、取材先の近くから原稿を送って、そのまま帰宅する記者もいます。以前勤めていた新聞社では、午前中は編集部にほとんど記者がおらず、最も人がいる時間帯は17時から21時ごろでした。

編集部が殺気立つ「降版時間」に注意!

編集部に電話したときに「いま忙しい!」とすぐに切られ、それ以来「新聞社に連絡するのが怖い」という話を同僚や後輩のコンサルタントからたびたび聞きます。
そのとき何時に電話をしたか聞くと、本当に忙しい時間であることがほとんどです。

では、新聞社が最も慌ただしい時間帯はいつでしょうか。
それは朝刊と夕刊の降版(完成した紙面のデータを印刷所に送る)間際です。
全国紙や地方紙の紙面には、本社や印刷拠点から離れた地域向けに作る「早版」と、近い地域向けに作る「遅版」があり、2~4、5回ほど降版時間をずらして紙面を完成させます。

夕刊だと、昼の12時半ごろと13時半~14時ごろを降版時間とする新聞社が多く、筆者の前職である地方紙の場合、朝刊は23時台の早版降版後、新しい情報が入ると2回の締め切りに合わせて紙面を作り替え、最後は深夜25時半ごろに最終版を降ろしていました。

また、大きなニュースが起きた場合は、特別に26時過ぎになることもあります。
通常、朝刊の降版間際に記者に連絡を取ることはないかと思いますが、昼ごろに電話をかけるのであれば13時半か14時を過ぎてから連絡した方が対応してもらいやすいはずです。

筆者が新聞社で夕刊の編集作業をしていたとき、13時10分を過ぎても待っている原稿が来ないときがありました。
出稿されると一気にパソコンで組み紙面を埋めて、最後の1分まで原稿や見出し、レイアウトのチェックに追われ、走っていました。

もちろん記者全員が、締め切り直前まで原稿のやり取りをしているわけではありませんが、編集部でデスク業務をしている記者は、ギリギリまで事実に誤りがないか原稿を点検し、現場から原稿を送った記者に、電話で確認の連絡を入れます。
時には社内の雰囲気が殺気立つこともありますから、電話をかけても、話をゆっくり聞いてもらえる確率は低いので、できるだけ避けた方がよいでしょう。

狙い目は“夕刊の降板後”と“夕方”

これらを踏まえると、メディアアプローチに適切な時間は、夕刊の降版後と記者が最も会社に集まる夕方ごろといえます。
デスク以外の一般の記者は、昼間に編集部にいることが少ないので、筆者は夕方17時ごろを狙っています。

あまり遅い時間になると、今度は朝刊作業に入ってしまいます。
編集部のデスク会議で、翌日朝刊の編集方針が決まり、紙面作成が進み始める時間(前職では19時か20時ごろ)までに、広報担当者として必要な情報提供や、確認を行っておくことをおすすめします。

メディアから取材を受けても、基本的に企業の広報担当者など、情報提供者が原稿を確認することはできません。万が一、伝えた名前の漢字や年齢が誤っていて、「修正してもらいたい」という場合も、この時間を過ぎると内勤の編集部門に原稿が渡り、修正が難しくなるので注意してください。

今回は新聞記者にアプローチしやすい時間帯について解説しましたが、雑誌であれば校了の曜日や日程を事前に確認しておくと、その日を避けて連絡することができます。広報PRパーソンとしては、編集部が忙しい時間を避けた取材提案や連絡を、心掛けるべきでしょう。

サービス資料のダウンロード

私たちが提供するサービスの紹介資料です。

記事の執筆者
堀北 未来
堀北 未来
シニアPRコンサルタント・マネージャー

大学卒業後、地方新聞社の記者として取材や編集レイアウトを約10年間経験した後にPR業界に転身。自治体、省庁関連団体、人材コンサルティング、電子機器メーカー、証券など上場企業から中小・スタートアップ、行政まで幅広い業務を担当し、ベンチャー広報に入社。教育問題や地域活性化、働き方にからめたPRで全国メディアでの報道実績が多い。

記事の執筆者
堀北 未来
堀北 未来
シニアPRコンサルタント・マネージャー

大学卒業後、地方新聞社の記者として取材や編集レイアウトを約10年間経験した後にPR業界に転身。自治体、省庁関連団体、人材コンサルティング、電子機器メーカー、証券など上場企業から中小・スタートアップ、行政まで幅広い業務を担当し、ベンチャー広報に入社。教育問題や地域活性化、働き方にからめたPRで全国メディアでの報道実績が多い。

堀北 未来
のほかの記事を読む