情報のアップデート、まずは自社のサイトを更新しましょう!
元新聞記者が教えるダメなPR

情報のアップデート、まずは自社のサイトを更新しましょう!

広報初心者の方から「企業やサービスの認知度を上げるためにWikipediaのページを作りたい」という相談を受けることがあります。しかし、皆さんご存じの通り、Wikipediaは誰でも編集、更新できるため正しい情報かどうかわかりません。メディアも取材前に企業のことをWikipediaで調べるということはしないでしょう。では広報がWikipediaの編集以上に力を入れるべきこととは何でしょうか。

Wikipediaは一次情報ではない

筆者は新聞記者時代、プライベートでは過去の大きな事件や歴史上の人物について書かれたWikipediaを読むことがありました。しかしその情報を信用して取材のためのリサーチに活用したことはありません。取材前には必ず、企業がWebサイトなどで発表している公式の一次情報を確認していました。

いまPRパーソンとして記者と話していても、ある企業を取材するかどうかを決めるときに最初に見るのは企業のWebサイトだという話をよく聞きます。

更新のポイント① リリースと資金調達の情報を目につきやすく

某ビジネス誌の記者にWebサイトのどこを最初に見ているのか聞くと、「企業の最新の動きと社会的な信用度をチェックするため、直近のリリースと資金調達の情報を探す」とのことでした。

いつどのようなサービスを開始してどの程度使われているのか。どのような企業が期待して投資しているのか。より詳細な公式情報を確認して取材するか否かを判断します。

「トップページか目につきやすいところに、この2つの情報を載せていない企業の取材は検討できない」と苦言を呈していました。

皆さんが広報している企業のサイトは、トップページを訪れるとすぐに直近のリリース一覧や資金調達の情報が見られるようになっていますでしょうか。すぐに仕様を変えるのは難しいかもしれませんが、メディアがどのようなポイントでWebサイトを見ているかを意識して、ぜひ改善を検討してみてください。

更新のポイント② メディア露出はコーナーを設けて一覧に

せっかく広報活動が実りメディア露出につながっても、それを対外的にうまくアピールできていない企業をよく見かけます。直近のリリースをWebサイトの目立つところにとお伝えしましたが、リリースとは別に「過去のメディア露出一覧」といったコーナーを設け、情報を更新することをおすすめします。

サイトを訪れた一般消費者は「これだけ多くのメディアに取り上げられたのであれば信用して利用してもいいサービス(商品)なのだろう」と参考にできます。メディアも過去にどのような媒体にどの程度取材された企業なのかを一つの判断材料にすることができます。

リリース情報と同じところで掲載や放送を報告する企業も多いですが、メディア露出だけを分けて整理した方が圧倒的に見やすくなります。ただし、ここで注意したいのは記事や放送内容の著作権の問題です。取材した媒体側に著作権があるため、紹介の仕方を間違えるとその後メディアとの関係性が悪くなる可能性もあります。

WEBメディアで記事が公開された場合は、取材してくれた記者や媒体に一言「弊社のWebサイトでも記事のリンクを貼らせていただきたい」と声をかければ了承いただけることがほとんどです。媒体によってはクレジット表記についてルールがありますので、筆者はできるだけ事前に記者に連絡するようにしています。

新聞紙面や雑誌の誌面、放送された番組の動画データはどうでしょうか。広報の仕事を始めたばかりであれば意外と知らないかもしれませんが、二次利用の申請が必ず必要です。

紙媒体の場合は紙面(誌面)の内容がはっきり読めるPDFを勝手にWebサイトにアップせず、新聞社や出版社の著作権に関する問い合わせ先などを探し、二次利用申請をしてください。媒体によって異なりますが、「1つのサイトのページに1年間公開で1記事5000円」などと料金が決まっています。

TV番組も、社内の記録用にとった録画データを自社のWebサイトにうっかり公開してしまうということのないように気を付けてください。

露出の内容を詳しく紹介する必要がなく二次利用の申請をしない場合は、「〇日に『〇〇〇〇(媒体名や番組名、コーナー名)』で〇〇〇〇〇〇〇(タイトル)という記事が紹介されました!」といったように、掲載の日付けと媒体名(コーナー名)、記事や放送のタイトルだけの紹介に留めましょう。

更新のポイント③ 社員インタビューは採用のカギに

採用のための広報PRを行う企業も多いでしょう。SNSでどうバズらせるか、どのような取材獲得が効果的か、などと頭を悩ませる広報の方にもよく出会います。その企業のWebサイトをのぞくと、多くは社員インタビューのページの更新が止まっていて機能していません。

たしかに今はYouTubeチャンネルやSNSの投稿で社員インタビューの動画を配信し、拡散を狙うこともとても効果的になってきています。また社員にスポットを当てた取材獲得ができれば、読者が広く関心を持ちやすい記事で社員を紹介してもらうことができます。

ただ応募者がその企業に就職、転職するかどうかを判断するため、より深い情報を知ろうとするとやはり最終的にはWebサイトを見るということが多いのではないでしょうか。Webサイトに掲載されている社員インタビューの記事が少ないと、社員の顔が見えづらく、自分がその企業で働くイメージを持つのは難しくなります。

「このような人物を特に採用したい」という具体的なペルソナがあれば、それに近い社員に協力してもらえます。なぜ入社したのか、実際に働いてみてどう考えているのかを詳しくインタビューし、一日の動き方を紹介しても良いと思います。

ふだんの働く様子がわかる自然体の写真とあわせて載せると、より具体的に社風や求めている人物像を知ることができます。

自社サイトに記事をアップするというのは、比較的すぐにコストをそこまでかけずに取り組めるのではないでしょうか。筆者はいつも、SNS施策などを検討する前に優先順位を高く取り組むべきと考え、アドバイスしています。

今回はWikipediaよりはるかに大切な足元の自社Webサイトについて、更新のポイントを3つにしぼり紹介しました。いま優先すべきことを念頭に改善し、メディアや一般消費者、採用候補者からの認知のされ方が良い方向に変わればうれしいです。

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記事の執筆者
堀北 未来
堀北 未来
シニアPRコンサルタント・マネージャー

大学卒業後、地方新聞社の記者として取材や編集レイアウトを約10年間経験した後にPR業界に転身。自治体、省庁関連団体、人材コンサルティング、電子機器メーカー、証券など上場企業から中小・スタートアップ、行政まで幅広い業務を担当し、ベンチャー広報に入社。教育問題や地域活性化、働き方にからめたPRで全国メディアでの報道実績が多い。

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