急がば回れ!地方の記者にアプローチして全国紙掲載を狙う方法
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急がば回れ!地方の記者にアプローチして全国紙掲載を狙う方法

スタートアップのためのPR会社 ベンチャー広報の堀北です。

皆さんは地方への店舗出店やイベント実施などでメディアを誘致するときに、どのようにアプローチをしたら良いかご存じでしょうか。あるいは、地方に本社を置く企業の広報をする方は、地方紙に限らず、全国紙への掲載を狙ってはいないでしょうか?

「地方のメディアにどうアプローチしたら良いかわからない」「東京の記者さんは地方まで来てくれるのか」というご相談は、意外と多くいただきます。

そこで今回は、全国紙の地方支局にアプローチするときの効果的な方法をご紹介します。

意外と知らない地方支局と本社の取材先のすみ分け

まず、地方に本社がある企業のコーポレートの動き(事業展開や社長インタビューなど)を取材するのはどこの記者が担当なのかからお話します。全国紙の東京本社の経済記者は、大まかに金融や人材、アパレルなど業界によって担当が分かれているのはよく知られています。

例えばアパレル企業の本社が広島にあるとします。東京にいるアパレル担当の記者にアプローチして取材に来てもらえるでしょうか。答えはノーです。よっぽどの大企業であればイレギュラーで出張に来ることもあるかもしれませんが、基本的には広島支局にいる記者が取材することになります。

新聞社は地方のネタを効率よく、また深く取材するために全国に取材網を張っています。本社の記者がたびたび地方の企業を取材することになれば、地元で日頃から取材先と関係性を構築している支局の記者からすると「持ち場荒らし」となり取材がしにくくなってしまいます。

筆者がいたのは全国紙ではなく地方紙でしたが、本社と支局の記者は持ち場を荒らさないように取材先のすみ分けに注意していました。本社の記者が特集や連載の取材で支局の管轄エリアに出向くときは、許可なく行かず事前に支局にお伺いをたてていました。

本社が東京にあり、地方に新しい拠点や店舗をオープンするときや、地方でのイベントがあるときに現場での取材が必要な場合も、支局の記者にアプローチが必要です。店舗オープンのセレモニーで地元客が集まる様子やコメントの取材は、遠方にいる東京の記者ではなく支局の記者が実際に店舗に行かないとできないからです。

地方の記者が取材したから地方版にしか載らない、という勘違いをされる広報の方も多くいますが、扱いや掲載場所はニュースバリュー次第です。大きなニュースであれば地元記者が書いた記事を本版(全国版)に載せようとしますし、デスクやレイアウト部門もそのように判断します。

まずはコツコツ地元記者にアプローチを続け、全国版での掲載を狙いましょう。

Googleマップで見つける アプローチ先の探し方

東京本社や大阪本社、西部本社(福岡)より小規模な取材拠点は支社、総局、支局、通信部といったものがあり、順番に規模が小さくなっていきます。それぞれの拠点で取材するエリアが決まっていて、たいていは総局の下に支局や通信部がぶら下がっています。通信部は支局よりも人口(購読者)の少ないエリアに置かれています。

朝日新聞の場合をみてみましょう。朝日新聞デジタルのサイトに「地域の取材網」を紹介するページがあり、広島には広島総局と福山支局、呉支局、尾道支局があることがわかります。取材を誘致したい場所が福山市であれば福山支局、呉市であれば呉支局にアプローチするのでわかりやすいのですが、東広島市だとしたらどう探せば良いでしょうか。

この場合、筆者はまずグーグルで「朝日新聞 広島 支局」と地図検索をします。各支局の場所を把握したところで東広島市の場所を探すと、広島総局と呉支局が近くにあることがわかります。

そこでより担当エリアが広い広島総局にあたりをつけてコンタクトをとってみます。朝日新聞のサイトにある総局の電話番号やメールアドレス、FAX番号に連絡をとることができますが、「○○市政担当の記者はいますか?」と電話をしてもつないでいただくハードルは高く、取材していただけそうな記者名も特定してから電話をかけた方がより検討いただきやすくなります。

署名記事で地道に傾向をリサーチ!取材後を狙って電話を

地方の記者がどのように担当を分けているかというと、人数が少ないためジャンルや業界ではなくエリアごとに担当を分けている場合が多いです。例えば東広島市の取材であれば、日頃から東広島市政を取材している記者にコンタクトをとると良いでしょう。日経テレコンや電子版の検索で東広島市のニュースの署名記事を調べて、おおよその傾向を調べてみてください。

キーワードが思い浮かばないときは、アプローチしたい地方にある著名な企業名を調べてから、その企業を取材した署名記事をみると傾向がつかみやすいです。もしその地域を取材する記者の名前が複数出てくるようであれば、経済や政治、行政などで担当を分けているのかどうかを探ります。

そして、より領域が近い記者に照準を定めて「日頃○○さんが○○市で××××の取材をしている記事を拝見していて、ぜひご案内したい情報があり連絡しました」と総局や支局に電話することをおすすめします。

総局以下の地方の拠点では一般的に、事務員の方が電話対応をすることが多く、支局や通信部は特に昼間は記者が全員取材に出ていることがほとんどです。通信部は所属している記者が一人だったり職場が自宅をかねていたりすることも多く、たまにご家族に電話対応いただくことがあります。

記者が取材中に事務員の方などが手に取ったリリースや取材案内状のFAXは、担当記者の机に置いてくれることもあるかと思いますが、電話で説明することで確実に記者の目に留まり検討いただけるようになります。

記者は取材を終えてから支局などに帰ることが多いので、筆者は16時か17時ごろを狙って電話をしています。毎日電話をしてもつかまらない、あるいは通信部にかけても支局に電話が転送されてしまうといったことが続けば、総局や支局に事情を説明して携帯の連絡先を教えてもらうか折り返しの連絡をいただくことが可能か相談してみるのも手です。

最近は支局のFAX番号に届いた資料が支局代表のアドレスに転送されて、所属記者がメールで確認できるところもあるようです。

地方へのアプローチのイメージが少しわきましたでしょうか。担当記者のあたりをつけてアプローチすることと、メールやFAXでの案内に加えて取材を終えたタイミングで電話で説明するということがポイントですので、ぜひ実践してみてください。

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記事の執筆者
堀北 未来
堀北 未来
シニアPRコンサルタント・マネージャー

大学卒業後、地方新聞社の記者として取材や編集レイアウトを約10年間経験した後にPR業界に転身。自治体、省庁関連団体、人材コンサルティング、電子機器メーカー、証券など上場企業から中小・スタートアップ、行政まで幅広い業務を担当し、ベンチャー広報に入社。教育問題や地域活性化、働き方にからめたPRで全国メディアでの報道実績が多い。

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