これをすると取材NG?! 記者が嫌がる言動とは
元新聞記者が教えるダメなPR

これをすると取材NG?! 記者が嫌がる言動とは

みなさんがメディアとの関係づくりで気をつけていることは何でしょうか。せっかく記者とつながっても、たった一度のNG行動で広報(=会社)の印象が悪くなり、取材されることがなくなってしまう可能性があります。

では、メディアで取材する人にとってどのような行動がNGなのでしょうか。今回は筆者が新聞記者時代に感じていたことや、PRのお手伝いをするようになってから実際にあった事例、メディアにいる友人の話をもとに、記者がされたくないことを3つご紹介します。

「拡大」「増加」と言うのに根拠となる数字を公開できない

「○○のサービスが好調」「○○の事業が伸びている」という経済視点での傾向をもとに取材を提案することはよくあると思います。しかし、以前PRをお手伝いしていた企業の取材で「この事業が伸びている」と言いながらその根拠となる数字を示せないことがありました。

数字を公開できない理由は「ユーザー数を出すと同業他社にサービスを模倣されやすくなるから」と話し、記者がせめてユーザーの伸び率がわかる何らかの数字を教えてほしいと依頼してもそれすら出せないとのことでした。

提案の時点では数字の公開を了承してもらっていましたし、事業の拡大とその社会的な背景がリンクしていてユーザーのインタビューもアレンジできたので、良い露出を期待していました。

しかし、ふたを開けてみると拡大が示せないという事態になり、取材した記者はそのあと何カ月も紹介の仕方に頭を悩ませ、本当に取り上げて良い会社なのかから再検討することになりました。

結果的に掲載には至りましたが、多大な迷惑をかけてしまいました。実際はお蔵入りの可能性も高かったと考えます。

メディアは何の根拠もなく「伸びている」「増えている」とは紹介できません。また何か新しい取り組みがスタートしたと紹介する取材であっても、実際にどのくらいのユーザーがいるのかは必ず質問されます。

広告と違い報道はファクトにもとづいた紹介が必須であることを肝に銘じ、何らかの数字を公開できるように取材提案の前に社内で確認しましょう。

また記者に数字を伝えるときは、どのメディアにも正確な情報を伝え、ごまかして不正確なものを伝えるといったこともないようお気を付けください。

公開前の原稿に事実の間違い以外の修正を依頼する

せっかく記事化が決まっても、そのあとの行動で企業のイメージが悪くなってしまうこともあります。

メディアには「編集権」という、外部からの検閲や圧力を排除して公正中立の立場で報道するための権利があります。ですので基本的に公開前の記事を見せてもらうことはできません。しかし、媒体によっては事実確認のため事前に原稿を共有してもらえる場合があります。

このとき注意すべきは、固有名詞や数字など事実に間違いがあるところだけ指摘する、ということです。もちろん明らかな事実誤認があれば、誤報となり媒体に迷惑をかけないためにも正しい情報にきちんと修正依頼をしてください。

文章の表現や書き方については、間違いでない場合は修正依頼をひかえることをおすすめします。記者やライターが、プロとしてわかりやすく書いた文章を勝手にいじることは失礼な行為です。

たまに「校正してあげました」と得意げに文章を修正して戻そうとする企業広報の方がいますが、みなさんにはそれがご法度と認識いただきたいですし、別の社員の方がそのように手を加えようとしたら阻止してもらいたいと思います。

PRをお手伝いしているクライアント様より、文章の表現についても手を加えていいのか聞かれるケースが時折あります。「事実の誤りだけ指摘してください」と都度お伝えするようにしています。

もしどうしても気になる表現があれば、最終的にはメディアの判断となることを理解いただいたうえで「参考までに」「もし検討可能であれば」と失礼のない伝え方でお戻しいただくと、嫌な印象を与えずに済むでしょう。

ネタがないのに無理に会いたがる

取材前の段階でネガティブな印象を持たれるパターンもあります。アプローチしたい記者がいま書けそうなネタがないにもかかわらず、むやみに記者に会いたがる、連絡先を聞き出そうとするということです。

PR会社にもよく「今はニュース性の高いネタがあまりないが、とりあえず記者と会って名刺交換したい」「興味を持ってもらえてなくても記者の連絡先を知りたい」という相談があります。

メディア露出の成果が出せないので、記者とのリレーションをつくって今後の提案にそなえたいという気持ちは理解できますが、取材が難しそうだとわかっていてわざわざ時間を割いてくれる記者は残念ながらあまりいません。

ある友人の記者からは「取材前に挨拶したい、会いに行きたいと言う広報の人はそれだけで嫌いになる」と聞いたことがあります。

その記者は、メールの提案内容がおもしろければ取材するので、挨拶はそのときにすればいいという考えだそうです。他にも「押せばなんとかなる」という姿勢の広報を好まない記者は多いのではと思います。

取材のお礼と称して広報の人に会食をセットしてもらったら、別の企業の広報が同席することになり困惑した、という話も以前聞きました。広報同士で協力してメディアとのつながりを共有しようとしたのでしょうが、自分の情報を売られているという感覚になりがっかりしてしまいます。

品のないアプローチをする企業という印象を持たれてしまうと、むしろ取材の機会損失になってしまいますので気をつけてください。

記者同士は意外と横のつながりがあり、企業の情報を交換しています。「あの企業の広報はメディアの事情をわかってくれないから取材しない方がいい」と、一度のNG行動が他の媒体にまで広がってしまうことがあります。

今回ご紹介したこと以外にも、メディアとのやり取りの作法などで気をつけるべきことはいくつかありますので、お困りの際は弊社にご相談ください。

サービス資料のダウンロード

私たちが提供するサービスの紹介資料です。

記事の執筆者
堀北 未来
堀北 未来
シニアPRコンサルタント・マネージャー

大学卒業後、地方新聞社の記者として取材や編集レイアウトを約10年間経験した後にPR業界に転身。自治体、省庁関連団体、人材コンサルティング、電子機器メーカー、証券など上場企業から中小・スタートアップ、行政まで幅広い業務を担当し、ベンチャー広報に入社。教育問題や地域活性化、働き方にからめたPRで全国メディアでの報道実績が多い。

記事の執筆者
新聞社に昼間の電話はNG? メディアアプローチで記者に繋がる時間とは
新聞社に昼間の電話はNG? メディアアプローチで記者に繋がる時間とは
のほかの記事を読む