知らないと損する? 広報PRに活用できる3大アイテム
元新聞記者が教える“ダメなPR”

知らないと損する? 広報PRに活用できる3大アイテム

広報PRパーソンの皆さんは、普段、広報業務でどのような書籍やアイテムを活用していますか? PRの切り口を調べたり、アプローチ先の媒体リストをアップデートしたり、言葉の表記のルールを確認したり…。そんな場面で、さっと使える「虎の巻」があると良いですよね。そこで広報PRパーソンが、デスクに置いておくと便利なアイテム3つを紹介します。

PR切り口検討に一役「共同通信ニュース予定」

2022年も早いもので、2月が終わろうとしています。今年1年、どのようなPRのネタや行事があるかを整理し、すでにPRカレンダーを作成した方も多いかもしれません。これからの方もまだ間に合います。

2022年は12月まで、いつ頃にどのような報道が増えそうなのかがわかると、それに合わせて施策を早めに考えられます。そんなとき、ニュースの予定が調べられる便利なアイテムに「共同通信ニュース予定」があります。

共同通信社が毎年、先々の予定を年間通してまとめている冊子です。法改正や国内外の行事、「○○の日」といった記念日など、何月何日にどのようなニュースがありそうか、すぐにわかります。大きな災害や事故から丸何年という節目の日まで網羅されています。

具体的にどのように活用するかというと、例えば2022年は4月1日(と10月1日)に、改正育児・介護休業法が段階的に施行されることがわかります。4月からは企業に、従業員やその配偶者が妊娠、出産したことを申し出たときに、育児休業に関する制度を知らせて、休暇の取得意向を確認することが義務付けられます。

育児休業の取得率が低迷している男性を主なターゲットとして、育児休業を取得しやすくなるようなルールの整備を目指しているものですが、改正法施行の前に育休に関する連載が多くなりそうだと予想できますね。であれば、2月から取材可能な企業や社員をメディアに紹介、提案すれば、3月までの取材候補先として検討してもらいやすくなります。

広報PR施策を考えるとき、このように「時流を先読み」するために、WEBでまとめ記事を検索するだけでなく、この「ニュース予定」をパラパラめくると、思わぬヒントが得られるかもしれません。

正確な言葉で発信「記者ハンドブック」

次に紹介するのは、同じく共同通信社が発行する「記者ハンドブック」です。プレスリリースや企画書などメディア向けに資料を作成することが多い広報の仕事も、企業の顔として、正確な情報を発信するよう心掛けなくてはなりません。

例えば「国境をこえる」の「こえる」の漢字は「越」なのか「超」なのか、迷うことがあると思います。この記者ハンドブックは、それぞれの漢字の使い方の例を紹介しているので、国境は「越える」の方が正しいとわかります。

「霞が関」と「霞ヶ関」の使い分けなど紛らわしい地名の一覧や、「BMD(弾道ミサイル防衛)」など略語集もあり、最後の年齢早見表はプロフィール資料に記載する年齢を確認するときに活用できます。

先日、あるクライアント企業の寄稿連載の編集をお手伝いしていたとき、寄稿先の媒体では「ユーザ/ユーザー」や「サーバ/サーバー」の表記をどちらで統一しているか調べようとしましたが、専門性の高い雑誌で過去の記事が閲覧できませんでした。

そこで「記者ハンドブック」のカタカナ用語一覧のページを開いてみると、いずれも「ユーザー」「サーバー」と書かれていました。共同通信に加盟する地方紙や一部の全国紙は、このハンドブックのルールを基に執筆、編集するので、全国の多くの記者が、必須アイテムとして使っていると思います。

余談ですが、最近Netflix(ネットフリックス)で話題になったドラマ「新聞記者」でも、記者職で内定をもらったばかりの横浜流星さんが、赤い表紙の「記者ハンドブック」を読んでいるシーンがありました。

言葉遣いに間違いが多い企業は、せっかくリリースが記者の目に留まっても、正確な情報を教えてもらえるか不安に思われ、取材の機会を逃しかねないので気を付けたいですね。

媒体の連絡先やデータなど網羅「PR手帳」

最後の3つ目は、公益社団法人日本パブリックリレーションズ協会が出している「広報・マスコミハンドブック PR手帳」です。現在2022年度版が発売されていますが、業界別の専門媒体や記者クラブ一覧、地方紙や全国紙の部署一覧、各媒体の発行部数/視聴率/PV数の最新データなど、非常に細かい情報まで掲載されています。雑誌データは、一般誌と専門誌で計900媒体を網羅しています。

業界ごとに、どのような専門紙(誌)やWEB媒体があるのかをあらためて確認することができ、また各社の連絡先も参照できるため、広報PRの実務で役立つ場面は多いでしょう。

また、ニュースリリースを作成するときに確認すべき注意点(「ニュース素材は未発表の内容か」など)や、記者会見を行うときのフロー(「質問時間は十分にとっているか」など)をチェックできるリストもありますので、基本的なポイントはこちらで確認して進められます。

いかがでしたでしょうか。今回紹介した3つは、元新聞記者で広報PRパーソンである筆者が広報業務で活用しやすいと考えるアイテムですので、参考にしていただけるとうれしいです。

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記事の執筆者
堀北 未来
堀北 未来
シニアPRコンサルタント・マネージャー

大学卒業後、地方新聞社の記者として取材や編集レイアウトを約10年間経験した後にPR業界に転身。自治体、省庁関連団体、人材コンサルティング、電子機器メーカー、証券など上場企業から中小・スタートアップ、行政まで幅広い業務を担当し、ベンチャー広報に入社。教育問題や地域活性化、働き方にからめたPRで全国メディアでの報道実績が多い。

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