スタートアップのためのPR会社
株式会社ベンチャー広報
代表取締役の野澤直人です。
新聞やテレビの読者・視聴者は全体的に高齢化が進んでいます。
全国紙(朝日・読売・毎日)の読者層は50代・60代以上、テレビは(番組や放送時間によりますが)40代から60代が中心です。そのため、広報戦略として20代・30代の若年層にメッセージを届けたい場合には、新聞やテレビではなくSNS(twitter、Instagram、YouTubeなど)を活用すべきでしょう。
例えば、コロナ拡大を受けて「外出を自粛してください」というメッセージを、政府や自治体がどんな手段で生活者に伝えたかをみると、それが良くわかります。
安倍首相の記者会見をテレビで生放送したり新聞で報道してもらっても、50代以上には伝わりますが、20代・30代にはなかなか伝わりません。そこで政府のとった手段がtwitterでの星野源とのコラボなわけです(発信したコンテンツが稚拙だったため炎上しましたが)。また安倍首相は以前からニコニコ生放送への出演を積極的に行っています。
小池都知事もHikakinTV(YouTube番組)に出演したり、ネットの動画でメッセージを発信しています。これも新聞やテレビではリーチできない若年層にメッセージを届けるためです。
これらの事例から「メッセージを伝えたい相手の年齢によって、新聞・テレビとSNSを使い分ける必要がある」ということがわかると思います。
マスコミ広報(新聞・テレビ等)とSNSの関係において、最近興味深かったのは、twitterの抗議デモにより検察官定年延長法案が成立見送りになった出来事です。
---
「#検察庁法改正案に抗議します」。検察官の定年を段階的に65歳へ引き上げる検察庁法改正案に反対するハッシュタグをつけた投稿がツイッター上で急速に増え、10日午後1時現在で250万件を超えた。俳優や漫画家ら著名人も声を上げ、異例の盛り上がりを見せている。(出典:毎日新聞)
---
ネットではtwitterデモの勝利と歓喜の声があがりましたが、私の見方は少し違います。
この出来事のポイントは「twitterの抗議デモが起きているという事実を、新聞やテレビがニュースとして大きく報道した」ということではないでしょうか。
検察庁法改正案を強行採決した場合、世論の反発で内閣支持率が急落することが予想されため、安倍首相も方針転換をせざるを得なかった、と言われています。
twitterを見てる人=20代・30代の若年層=選挙に行かない人。だからtwitterでいくら批判されても安倍首相や政府はその意見を重視しません。
しかし「twitterの抗議デモが起きているという事実」を新聞やテレビが報道したら話は別。新聞やテレビを見てる人=50代・60代以上=選挙に行く人、ですから。安倍総理もこの層にそっぽを向かれると困ります。政府自民党の支持率が下がれば、次の選挙で苦戦しますからね。
今の時代、最強のPR手法のひとつは、SNSでバズる→そしてその現象を新聞・テレビが報道する、なのかもしれません。何しろ政府与党の意思決定に大きな影響を与えるほどですから。