PR会社は中小ベンチャー企業を「顧客」だと思っていない?

PR会社は中小ベンチャー企業を「顧客」だと思っていない?

PR会社への依頼を諦めた理由

スタートアップのためのPR会社
株式会社ベンチャー広報
代表取締役の野澤直人です。

私は中小ベンチャー企業の広報担当の方に対して、広報活動はできるだけPR会社に外注せず自社で内製化することをおすすめしていますが、それは自分自身の苦い経験がもとになっています。某ベンチャー企業に入社し、ゼロから広報部門の立ち上げを任されたときのことです。

当時、広報の経験が全くなかった私は、外部のPR会社サポートしてもらいたいと考え、いくつかのPR会社さんに声をかけて、提案と見積りをお願いすることにしました。私が驚いたのは、その費用の高さです。

ほとんどの会社の見積りが月額60万円以上、高い会社だと月額100万円以上で、しかも、年間契約が条件なので、年間の費用が700~1200万円くらいかかることになります。当時、私がいた会社の年商はやっと2億円に手が届くかどうかという企業規模だったので、広報PRにそんな予算をかける余裕はありません。

また、提案された内容もベンチャー企業のニーズとはかけ離れた大企業向けのものだったのです。そこで、私はPR会社への業務委託をあきらめ、ゼロから全て自分一人で広報業務を行うことにしました。私は前職で雑誌の編集者=マスコミ側にいた経験があったので、なんとか短期間で広報の仕事を身につけることができましたが、もしそうでなかったら、成果を出すまでかなり時間がかかっただろうと思います。

中小ベンチャー企業こそ広報PRを活用すべき

もうひとつ、印象に残っているエピソードがあります。以前、私がPR会社の社員だった時、個人的に親交のあるベンチャー企業の社長から仕事の相談を受けたときのことです。当時、そのベンチャー企業はまだ創業して間もなく資金的にも余裕がなかったため、月額30万円の3ヶ月契約でなんとかお願いできないか、という依頼でした。その社長にとって、それは決して安い金額ではなかったはずです。

この案件について社内に持ち帰って相談したところ、当時の上司はこう言いました。「そんな安い仕事は受ける必要ないから。受注するなら月額60万円以上にして」。私は本当にがっかりしました。でも、そのPR会社が特別なわけではありません。世の中にある名の知れたPR会社は、基本的に上場している大手企業がクライアントであり、お金のない中小ベンチャー企業は顧客だと思っていない、と言っても過言ではないのです。

「中小ベンチャー企業を応援するPR会社がないなら自分で作るしかない」ということで、私はベンチャー広報を立ち上げました。コンサルティングだけではなく、セミナーやオンラインサロンなどを通じて、中小ベンチャー企業の広報活動を支援しています。マスコミ広報は大企業のためのものと思われがちですが、本当にそうでしょうか。

サイバーエージェントの藤田晋社長が、ブログでこんなことを書いているのを見かけたことがあります。「1999年、創業1年くらいの時に、東洋経済のベンチャークラブという雑誌で『注目の起業家100人』というような特集で1番に取り上げてもらって、そこから勢いづいた経験があります。それを見た他メディアから更に取材が増えて、人材採用や資金調達、営業活動、他社との提携などにも好影響が出ました」(一部抜粋)。

やはり、大企業に比べて資金力や信用力に劣る中小ベンチャー企業こそ、広報PRを活用して会社を伸ばすべきだと思います。

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記事の執筆者
野澤直人
野澤 直人
代表取締役

大学卒業後、経営情報サービス会社に入社。マスコミ業界に転じ、ビジネス誌の編集責任者としてベンチャー経営者500人以上を取材。その後、海外留学関連のベンチャー企業に参画し、広報部門をゼロから立ち上げ、同社の急成長に貢献する。2010年に株式会社ベンチャー広報を創業。以来10年間でクライアント企業は400社を超える。著書に『【小さな会社】逆襲の広報PR術』(すばる舎)。

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