「ニュース」とは何か?
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「ニュース」とは何か?

スタートアップのためのPR会社
株式会社ベンチャー広報
代表取締役の野澤直人です。

「ニュース」とは何か。このシンプルな問いにあなたならどう答えますか?

広報活動がうまくいかない大きな理由のひとつは、広報担当者が「ニュースとは何か」を十分理解していないことにあります。どれだけたくさんプレスリリースを発信しても、その内容にニュースバリューがなければ、マスコミは報道してくれません。

PRのネタを考える時も「ニュースとは何か」がわかっていなければ、的外れなアイデアしか出てこないでしょう。「自社が発信する情報に報道価値があるかないかを的確に判断できる」。これこそ広報担当者に求められる最重要スキルです。

Wikipediaはこう書かれています。「ニュースとは、珍しい出来事や新しい情報のことである」。

ふむ。言葉の定義的にはそうですが、広報的にはこの認識では不十分です。例えば、珍しい出来事や新しい情報であれば、マスコミが何でも報道してくれるわけではないですよね。

広報担当者は「“マスコミが報道してくれる”ニュースとは何か」を知る必要があります。

「ニュースバリュー」という言葉があるように、マスコミ関係者(記者、編集者、TVディレクター等)は、ニュース(珍しい出来事や新しい情報)について、常にその価値を判断し、報道すべきニュースのみを選んで取り上げているのです。

私が昔、雑誌の編集者になったばかりの時、先輩からこう教えられました。「犬が人を噛みついてもニュースにならない。しかし、人が犬に噛みついたらニュースになる」。

「犬が人に噛みついた」は一見、事件のようですが、よく考えてみると犬が人を噛むのは当たり前の話。しかし、人が人が犬に噛みついたら、これは“珍しい出来事”になるわけです。

実はマスコミの中にもニュースバリューの判断ができない人はけっこういます。だからこの先輩は「犬が人に噛みついた」レベルのことを安易に記事にするなよ、と駆け出し編集者の僕にアドバイスしてくれました。

このようにニュースの価値判断はマスコミの人にとっても簡単ではありませんから、広報担当者にとって難しいのは当たり前。さらに厄介なのは、ニュースの価値判断に絶対的な基準や正解がないということです。

媒体(新聞・雑誌・テレビ・WEB媒体)によって何をニュースとするかは違いますし、同じ媒体、例えば同じ新聞社の中でも、記者によってニュース価値の判断にはばらつきがあります。ある記者にプレスリリースを見せたらNGで、別の記者に見せたら取材してくれた、なんてことはザラにあります。

結局、広報担当者として「ニュースとは何か」を深く理解し、ニュース価値を判断できるようになるためには、広報としての経験を積むしかないと私は思っています。

新聞・雑誌・テレビ・WEBなどさまざまな媒体の、いろいろなマスコミ関係者に、自社の情報を持ち込み、取材になったりならなかったり、そうした経験を積み重ねることで、少しづつ「報道価値のあるニュースの基準」がわかってきます。

あとは、マスコミ関係者が講師のセミナーに参加して、その人にとって「ニュースとは何か」を質問してみるのもいいと思います。以前、週刊朝日の元編集長・山口一臣氏に当社で講演をして頂いた際には、こんなレクチャーがありました。

■新聞記者にとって 「ニュース価値」とは何か?
1)おNEWがあるか?
→世界初、日本初/会社として初/地域で初
2)トレンドに沿っているか?
→ブーム、政策などに乗っている。社会性
3)位置づけが面白いか?
→逆にトレンドに逆らっているとか。 新奇性、意外性、特異性、独自、レア

プレスリリースを書いたら「ここにニュースはあるか」「書かれていることの何がニュースなのか」を常に自問自答してみましょう。

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記事の執筆者
野澤直人
野澤 直人
代表取締役

大学卒業後、経営情報サービス会社に入社。マスコミ業界に転じ、ビジネス誌の編集責任者としてベンチャー経営者500人以上を取材。その後、海外留学関連のベンチャー企業に参画し、広報部門をゼロから立ち上げ、同社の急成長に貢献する。2010年に株式会社ベンチャー広報を創業。以来10年間でクライアント企業は400社を超える。著書に『【小さな会社】逆襲の広報PR術』(すばる舎)。

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