「社員のために会社がある」というパラダイムチェンジ

前回の記事で、企業が社員の幸福度を高めるためには、モチベーションややりがいをコントロールするのではなく、会社が社員に高い給与と休暇を与えることが有効的だと主張しました。

しかしながら、社員に高い給与を払って休暇をたくさん提供するのは会社にとって、そんなに簡単なことではありません。

今回は、高い給与と休暇を社員に還元するために組織の生産性を上げること、社員の幸福度を高めるための企業努力について書いていきます。

自由と責任を社員に与えることで期待される効果

当社では、やりがいやモチベーションのコントロールではなく、業務においても個人に「自由と責任」を与えています。
なぜならば、自分で考える自由と実行する責任を持たせることで、主体的に動けるためのモチベーションが高まると考えているからです。

これは、個人が生産性を上げる場合にも言えること。
上司が部下の生産性が高まる方法を考えて落とし込んで行くよりも、部下が個々で考えて自分に合ったやり方で進めた方が生産性は上がるはずです。

生産性を低くする原因を追究し、生産性を高める

組織は、生産性を高めるための方法を考えるよりも、生産性を低くしている要因を探して潰していくことに注力する必要があります。例えば、朝礼や日報、時間が定まっていない会議、過剰な報連相などはコミュニケーションコストが掛かるため、生産性を低くしている原因になりがちです。皆さんの会社ではいかがでしょうか?

当社では、仕事の成果に直結しないことは極力やめ、仕事の成果に直結することだけを行なうことにしています。例えば、直行直帰の推奨することで通勤時間を削減すること。
社員は本当に打ち込むべき仕事やプライベートに時間を割けるようになり、当社の生産性はアップしました。生産性を高めたことで社員が楽しそうに仕事を行うだけでなく、同時に、顧客の満足度も高まったのです。

多様な働き方が進む時代、組織は変化しなければいけない

多様な働き方が増えていく中で、会社の役割や立ち位置が変わってきています。今までの会社は、株主に利益をもたらすことが最優先。社員や従業員は会社を儲けさせるために必要である一方、彼らの幸福度は二の次でした。

しかし、会社の立ち位置が変わりつつある今、会社のために社員がいるという考えでは、優秀な人材ほどその組織に寄り付かなくなります。これからの時代は、社員のために会社があるという考え方にシフトする必要があるのです。
実際、ベンチャー広報の業務、特に広報やPRの仕事は、会社に所属せず、フリーランスとしてでもできる仕事です。それでも、当社で社員として働くことを選ぶ理由は、「ベンチャー広報という会社が自由な働き方や存分な休暇を得ながらも、体調を崩した時のリスクヘッジができる」といったフリーランスでは叶えることができないメリットがあるからだと思います。

働き方の概念が変化し、会社は社員を選ぶ側から、社員から選ばれる側になりました。なぜならば、本当に優秀な人は会社に所属しなくても一人で仕事ができる時代になってしまったから。会社に所属するメリットがなければ、個人はどんどん外へ出ていってしまいます。

今後、社員を獲得するためには、まだまだ仕組みを柔軟に対応させられる企業は他社と働き方を比較するよりも、フリーランスの働き方と比較して施策を打つことが重要になってくるでしょう。

給与体制を整えることで、優秀な人材を獲得する

採用したい人を選ぶ側ではなく、採用したい人から選ばれる側になるためのシフトチェンジが必要になってきたからこそ、これからは、やりがいの意識を持たせることより、給料と休みをしっかり与える努力が必要となってきます。

また、社員の給与を上げると期待されるのは、優秀な人材を獲得するため、選ばれる企業になるためだけではありません。マクロの視点から見ると、日本の経済を活性化させるとのメリットがあります。
 

 
先日、NHKで放送されていた「マネーワールド」という番組の中で「キャッシュレス」の特集がされていました。知っての通り、中国や欧米諸国ではキャッシュレスが急速に進んでおり、日本でも2020年のオリンピックに向けて続々とキャッシュレス化が進んでいます。

すでにキャッシュレス化が進んでいる国によると、キャッシュレスが進むことでお金を使うことに抵抗感がなくなり、経済は活性化するようで、実際にスウェーデンでは、キャッシュレス化が進むにつれGDPが上昇しているのだそう。

企業努力を続けることで、日本経済を活性化させる

しかし、この番組の中で司会者は「日本はキャッシュレスにしても、他の国のようにお金を使えない。なぜなら、日本人の問題は、そもそも給料を十分にもらえないことだ」と言っており、まさにその通りだと感じました。

私は日本のお金が循環しない理由は「個人のタンス預金」と「企業の内部留保」の2つにあると考えています。給与が少ないから、将来が不安で個人がお金を消費しない。だから、経済成長が衰えるのです。

つまり、社員の給与を上げることは、ミクロ的な視点では社員の幸福度を高めることができ、マクロの視点では経済が活性化するというメリットがあります。

企業が社員に高い給与を与えるための努力をし続けることは、その企業だけでなく、日本全体に良い効果をもたらすのです。

だからこそ、企業は社員に高い給与を支払うために、生産性を高めること。生産性を高めるために、生産性を低くしている原因を突き詰めること。そして、個人の仕事に「自由と責任を与える」よう努力するのが良いと、私は考えます。