スタートアップのためのPR会社
株式会社ベンチャー広報
代表取締役の野澤直人です。
毎日続くコロナ関連報道ですが、ぜひこれを広報視点で見てください。
政府としては、この国難を乗り切るにあたり、マスコミと世論を味方につけて、外出自粛など国民の行動・意識をコントロールしながらコロナ対策をスムーズに進めたいはず。そのために必要不可欠なのが「広報」になるわけですが、政府が行う広報活動は全然うまくいっていませんよね。
コロナ対策給付金の1世帯30万円案はマスコミ・世論から猛反発を受けて撤回を余儀なくされましたし、安倍総理がtwitterに投稿した星野源とのコラボ動画は大炎上、PCR検査実施数の少なさについては、マスコミ・世論の批判がくすぶり続けています。どれも広報活動の失敗といえるでしょう。
政府には官邸直属でマスコミ対策を行う組織があります。内閣情報調査室(※以下、内調)です。200名ほどの組織で、日本版CIAとも言われます。安倍総理は菅官房長官よりも内調のトップである内閣情報官と綿密に接しているのは知る人ぞ知る有名な話。
内調の国内部門には、新聞・出版・テレビなどのメディアごとにマスコミ担当がおり、マスコミへの情報操作・世論対策を行っています。彼らの仕事は大きく分けて2つ。「オシント」と「ヒューミント」です。
オシントとは、Open source intelligenceの略で、公開情報の収集のこと。特定のテーマに関する新聞・雑誌・テレビ・インターネットが報道した記事や放送を集めて分析を行います。
ヒューミントとは、Human intelligenceの略で、関係者からの人的情報収集のこと。新聞記者や雑誌編集者などマスコミ内部の関係者接触し、有益な情報を引き出します。
また、内調はマスコミにさまざまなマスコミ人脈を持ち、そのルートを通じて情報をリークすることで、時の政権へ有利な報道を促しているといわれます。例えば、読売新聞が2017年5月22日、朝刊1面で「前川前次官 出会い系バー通い 文科省在職中、平日夜」と題して、前川氏が新宿の出会い系バーに頻繁に出入りしていたと報じました。業界内では、この報道は内調が前川氏を尾行して、盗撮した写真を読売にリークしたというのが定説となっています。
企業の広報活動でいえば、オシントが「報道分析」で、ヒューミントが「メディアキャラバン」。企業の広報担当者にとってもマスコミ人脈は重要ですし、新製品などの情報をメディアにリークをすることも少なくありません。
日本版CIAといわれる内閣情報調査室が行っているマスコミ対策というと何かすごいことをしているように感じますが、何のことはない。われわれが日頃している広報業務と同じなんです。その違いは広報をする対象が「政府・政策」なのか「企業・商品サービス」なのかだけ。
こうした視点を持てば、広報という仕事がよりダイナミックで奥深いものに感じると思います。