「フリーランスのPRパーソンは大丈夫か問題」について考える
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「フリーランスのPRパーソンは大丈夫か問題」について考える

スタートアップのためのPR会社
ベンチャー広報の野澤です。

前回は、スタートアップ企業は広報を内製化すべきか外注すべきかについて書きました。結論としては、内製化もPR会社への外注も難しいという結論になりました。

そうなるとほとんどの企業がPR会社よりはるかに安く依頼できるフリーランスに依頼することを考えますが、それもまた私は心配に思うのです。なぜそう思うのか、フリーランスのPRパーソンについて私の経験や考えを書いていきます。

プロの目でも見抜けないPRパーソンの良し悪し

まず最初にお伝えしておきたいのは、フリーランスの人材は玉石混交であるということです。もちろん超優秀なプロフェッショナルな人材もいますが、中には、素人同然の「なんちゃってPRコンサル」も少なくありません。

例えば、広報を学ぶスクールに数ヶ月通っただけで、何の実績もなく名刺にPRコンサルと書いて活動している人も数多くいます。また、広報PRの領域におけるPRプランナーという資格を持っている人もいますが、資格の有無と実務ができるかどうかは別問題です。

実際、私自身がフリーのPRパーソンに業務を委託して痛い目にあったことが何度もあります。優秀そうに見えたPRパーソンにいざ仕事を依頼してみると、こちらが期待するレベルの仕事ができずアウトプットも少ないのでトラブルになったことも一度や二度ではありません。

実際に仕事を一緒にしてはじめて、PRパーソンとして優秀かどうか、成果を出せる人物かどうかわかることがほとんどです。

20年近くこの仕事をしている私でも能力を見抜けないのですから、広報にあまり詳しくない方がPRパーソンの良し悪しを初見で判断するのはほぼ不可能と言えるでしょう。

優秀なPRパーソンに仕事を依頼するのは難しい

フリーランスのPRパーソンの中には、もちろん数々の実績をもつ敏腕広報の方もいらっしゃいます。当然ながらその優秀な方に仕事を依頼したいと考えるわけですが、そういった方は新規で仕事が受けられない状態であることがほとんどです。

広報の仕事をというのは労働集約的ですから、フリーランスとして個人で仕事をする場合、受けられる案件数には限りがあります。実務までやる業務委託なら3〜4社、アドバイスだけをするコンサルでも頑張って上限10社でしょう。

高度なスキルを要する広報の仕事で結果を出し続けられて、PR会社よりも安く依頼できる優秀なフリーランスのPRパーソンには、当然ながら仕事の依頼が殺到します。その結果、その人が仕事を受けられるキャパシティはすぐにいっぱいになってしまい、新規の仕事を受ける余裕などないのが普通です。

逆に言うと、すぐに仕事の依頼を引き受けるPRパーソンに対しては「この人大丈夫かな…」と疑ってかかったほうがいいかもしれませんね。

例外的に、超優秀な広報経験者がフリーランスとして独立したばかりで、まだ時間的に余裕があるというケースはありますが、そのタイミングでそういう人と出会うという幸運はなかなかないでしょう。

整理すると、優秀なPRパーソンは忙しいので仕事を受けてもらえないですし、簡単に仕事引き受けてくれる方は能力が低いことが多い。つまり、どちらにしてもフリーランスのPRパーソンに仕事を発注するのは解決策にはなり得ないことがわかります。

広報を内製化できる唯一の成功パターン

前回と今回の話をまとめると、以下のようになります。

  • 広報の内製化は難しい
  • 一般的なPR会社への依頼もフリーランスへの依頼も難しい

それでは、スタートアップ企業の広報はどうすればいいのでしょうか。
私は長年の経験から、一番うまくいくのは次の方法だと思っています。

ステップ1:広報代行でベースを作る

まずはPR会社に広報の代行を依頼して、広報戦略の設計、広報計画立案、マスコミに刺さるストーリー作り、マスコミ人脈の開拓など、広報施策と体制のベースをプロに作ってもらいます。
広報体制を作る立ち上げの部分が一番難しいので、そこはプロに任せて最初の半年から1年で広報の基盤を作ってもらった方が早くて確実なのです。

ステップ2:内製化を支援してもらう

ベースができたら、次は内製化を進めます。
社内で広報担当者を立てて、プロのPRパーソンに伴走してもらう形に移行します。ここで正式に広報担当者をアサインするわけですが、愛社精神のあるWHY型人材が良いことは間違いありません。プロのPRパーソンに担当者を育成してもらうことで、おおよそ3年で内製化が完了します。

私の経験上、これがスタートアップにおいて、広報体制を短期間で構築し内製化できる最適な方法です。

以上、2回にわたり、スタートアップ企業の広報体制をどのように構築すべきかについて私なりの考えを書いてきました。ぜひ参考にしてください。

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記事の執筆者
野澤直人
野澤 直人
代表取締役

大学卒業後、経営情報サービス会社に入社。マスコミ業界に転じ、ビジネス誌の編集責任者としてベンチャー経営者500人以上を取材。その後、海外留学関連のベンチャー企業に参画し、広報部門をゼロから立ち上げ、同社の急成長に貢献する。2010年に株式会社ベンチャー広報を創業。以来10年間でクライアント企業は400社を超える。著書に『【小さな会社】逆襲の広報PR術』(すばる舎)。

記事の執筆者
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