PR会社では本質的な仕事ができない3つの要因
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PR会社では本質的な仕事ができない3つの要因

ベンチャー広報の野澤です。

前回は、PR会社の仕事の本質とは何かについて書きました。

しかしながら、PR会社に勤めている方を見ていると、PR会社が提供すべき本質的な仕事ができていないのではないかと感じることがあります。それには、PR会社の組織や経営のあり方に理由があると私は思っています。

今回は、本質的な仕事ができない3つの要因について私の考えを書いていきます。

効率性を高めるための分業制の弊害

一つ目は、分業制による弊害です。

PR会社では、3人程度でチームを組みクライアントに対してサービスを提供するケースが多いです。

3人の内訳は、アカウントエグゼクティブと呼ばれるクライアントとの窓口になる人物、つまり営業担当が一人。もう一人は、プランナーと呼ばれる戦略を考える担当。もう一人が、プロモーターと呼ばれるメディアプロモートをする担当です。

この分業制の意図は、効率と専門性を高めるためですが、言ってみればそれはPR会社の側の都合です。部分最適になっているため、特定の領域でプロフェッショナルとして役割を全うできる状態にあるのは確かですが、その反面、クライアントの仕事に対する責任感は三分割されていることになります。そうなると、自分が仕事に携わった実感が減少し、貢献感も同時に薄れてしまうのです。

クライアントに対して愛情を持ち「クライアントのお役に立ちたい」という強い想いで仕事をすることでPR会社の担当者には責任感が生まれ、それが成果につながっていくと私は思っています。結果として、この分業制が本質的なPRの仕事を阻害している一つの要因だと考えます。

別の角度から見ると、分業制はクライアントを担当するスタッフ(PRパーソン)にとっても決していいことではありません。プレスリリースが上手に書けたところで、メディアプロモートだけできたところで、プロフェッショナルとしては不十分です。

クライアントの課題を解決して幸せに導く仕事をするために、広報PRパーソンとしては幅広い領域の仕事ができた方が価値の高い人材になれると思っています。これは、当社が他のPR会社のような「チーム制・分業制」ではなく、クライアント1社に対してひとりのスタッフが責任を持って広報PRのサービスを全て提供する「担当制」にこだわる理由の一つです。

感情と人間性の欠如

二つ目は、効率性や専門性の追求によって引き起こされる、感情と人間性の欠如です。

資格や専門的スキルは重要ですが、「資格や専門的スキルがある」イコール、「質の高い仕事ができる」とは限りません。あなたの周りにも、スキルはすごく高いのに、なぜかクライアントと仕事がうまくいかないという人がいませんか?おそらく、そこには人間性が関わっているはずです。

仕事は人と人の関係性が重要です。結局のところ人間ですから、いくらスキルが高くても、どうしても苦手な人とは上手く仕事はできません。特に、広報PRという仕事の真髄はコミュニケーションにあり、全人格が試される仕事だと思います。

広報PRの仕事をするのであれば、クライアントに対して愛情と責任を持つことが第一歩です。それが成果を出す近道にもなります。

また、クライアントに愛情と責任を持ち真摯に向き合っていれば、ミスをしてしまったり、大きな成果を出せなかったりしたとしても、クライアントはそれまでの姿勢を必ず評価してくれるはずです。

その逆で、「お金をもらってるからやる」「仕事だから仕方なく言われたことをだけをやる」という姿勢で仕事をしているのであれば、それはクライアントに伝わっています。クライアントは自分の鏡そのもの。自分が愛情を持って接すれば、相手も同じように応えてくれます。

このように、愛情と責任のある仕事を通じてクライアントとの信頼関係を築き、その上で、相手の役に立つためには何ができるかを深く考え自ら主体的に行動することが、広報PRに携わる人の正しい姿勢ではないでしょうか。

先にあげた分業制では、このような姿勢にはなれません。それは「自分の役割を果たせばいい、与えられた作業をこなせばいい」という思考に陥りがちだからです。そうならないよう、分業制をやめて、仕事をマニュアル化せず、本質的な仕事ができる体制にすべきだと思うのです。

契約期間に縛られた仕事

三つ目は、契約による弊害です。

多くのPR会社は一年契約という長い厳格な縛りを設けていますが、私は契約によってクライアントとの関係を縛るべきではないと思っています。嫌になったら、いつでもやめられる関係がお互いにとって健全なはずです。

なぜなら、そうすることで、お互いを尊重しながら本質的な仕事ができるようになり、信頼関係の構築にもつながっていくからです。

逆に言えば、無理な契約は仕事の本質を見失う可能性が大いにあります。ですから、当社では、契約期間は設定するものの、お互いにいつでも途中解約ができる仕組みにしています。

そうすることで、PR会社によくありがちな、成果が出ずクライアントとの信頼関係が崩れているにもかかわらず、とにかく一年間の契約期間を全うするため、現場のスタッフが辛い思いをして疲弊する、ということがなくなります。

当社は、顧客満足を追求しながら広報PRパーソンの価値を最大化させるために、分業制は敷いていません。また、クライアントと対等な関係で本質的な仕事ができるよう、契約期間の縛りも設けていません。

今後もクライアントに満足してもらえる仕事をしていけるように、このスタンスを大事にしていきたいと思っています。

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記事の執筆者
野澤直人
野澤 直人
代表取締役

大学卒業後、経営情報サービス会社に入社。マスコミ業界に転じ、ビジネス誌の編集責任者としてベンチャー経営者500人以上を取材。その後、海外留学関連のベンチャー企業に参画し、広報部門をゼロから立ち上げ、同社の急成長に貢献する。2010年に株式会社ベンチャー広報を創業。以来10年間でクライアント企業は400社を超える。著書に『【小さな会社】逆襲の広報PR術』(すばる舎)。

記事の執筆者
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