新人広報PRパーソンの心構えとやるべき事は

新人広報PRパーソンの心構えとやるべき事は

スタートアップのためのPR会社
株式会社ベンチャー広報の三上です。

新年度が始まり、入社直ぐに広報セクションへ配属されたり、他の部署から広報セクションに配属される方も多いのでは。皆さんはこれから、自社の情報をいかにメディアに情報提供していくか、広報セクションの任務は重要となります。

また、個人としてもいかに“広報PRのプロ”を目指し、専門職として活躍できるようになれるのか、この一年間が大切になります。

コロナ問題で自宅勤務でも自身でスキルアップはできます。私は36年の間、一貫して広報PRの専門職として長く従事できたのか、今回はそのコツを解説させて頂きます。

  • プロになるための8つのポイントとは…

1. 基礎的知識を徹底して習得して下さい!

まずは、広報PR専門書を最低10冊は読んで下さい。

昨今、様々なテーマで広報PRパーソン向けの書籍が刊行されています。大きく二つに分けられます。

一つ目は、『広報PR業に携わったPRパーソンの著書』

広報PRパーソンの全般的な仕事を理解するうえで、有益となります。私の広報PRの基礎を習得したのは、山見博康氏。新人時代に研修も受講した経験もあります。いまでもバイブル的書籍は「広報・PR実務ハンドブック」(日本能率協会マネジメントセンター)です。この他にも多く執筆されています。必須となる書は、弊社代表・野澤の「【小さな会社】逆襲の広報PR術」(すばる舎)です。最新のメディア事情にマッチした、広報PR戦術論を分かりやすく解説した書です。

一方、『メディア出身者の著書』です。

こちらは情報提供の受け手側の考え方・視点が理解できます。どのような情報を欲しているのか。またプレスリリースのテクニカルポイントなども習得できます。一番のお薦めは、以前仕事もさせて頂いた池上彰氏です。特に「新聞の読み方」(祥伝社)はお薦めです。その他に「メディアと広報」(尾関謙一郎著、宣伝会議)、「迷わず書ける記者式文章術」(松林薫著、慶應義塾大学出版会)などもお薦めします。

2. 情報の“営業パーソン”になりましょう!

広報PRパーソンは、自社情報だけ知っていてもプロではありません。自社情報だけでなく、業界全体の市場や動向・トレンド、また競合他社のトピックスや動向、キーマンについてなどを把握する必要があります。

その理由は、メディアサイドが知りたいからです。記者はストレートニュースの他に、連載・コラムや特集企画など様々な企画も担当しています。

その情報は、直ぐに記事にならないケースもありますが、多くのネタから都度、提案し企画に結び付けていくからです。

記者面談で、リリースの説明だけですと10数分で話が終わってしまいます。目的はリリース情報ですが、私は必ず記者が多忙でなければ、1時間は話せる情報をもって会うようにしています。

記者サイドに、自分は情報通と認識してもらえるからです。

そうなると、記者からネタ切れや取材先企業を探している時に問い合わせが増えてきます。その時は、必ず記者が満足頂くように情報提供や取材候補先を紹介します。

広報PRパーソンの商品は“情報”です。顧客は“メディア”です。

顧客のニーズを的確に捉えスピーディに情報提供をする、まさに“営業のプロ”と類似しています。

3. “想像力”を磨いて下さい

広報PRパーソンの大事な資質といえます。

・「自社がいまどのような経営状況になっているのか。」
・「経営戦略のポイントは何か。会社の課題は何か。」
・「記者の関心事は何か」
・「世の中が今どのような状況なのか。」
と、毎日想像を駆り立てて、自身に問いながら仕事を進めて下さい。

記者からよく聞く話で、評判の良い人は「親切で、きめ細かな配慮があり気遣いのできる人」です。これは相手の立場に立って物事が考えられる人=想像力です。評判の悪い人は、「自分勝手で忙しい時に電話をしつこくかけてくる人やとにかく面談を要求する人」がいると聞きます。

私が先輩からの指導で、今でも実行している事があります。取材~掲載後、単に電話でお礼を言う人は想像力のない人です。掲載後の反響や記事内容で共感した点など、短文を添えてメールでお礼をするのが、想像力のある人です。

皆さんも、ぜひ想像力に欠けた行動や言動には注意しましょう。

4. “メディア通・評論”のプロになりましょう!

これは基本中の基本です。

まず情報の営業パーソンとして、顧客の基本情報や関心事・趣味・趣向を把握します。これと同様に、メディアについて知らないと広報の仕事にはなりません。

新聞・雑誌・テレビ・webと、様々なメディアが存在します。自社に関係するメディアが何なのか。どのような報道がされているのか。どのようなコーナー・コラムが存在するのか。自社に関連する記事を書いている記者はだれなのか。

全国紙でも論調や報道特性など、各媒体違います。最近話題となった報道や各媒体の違いがわかるくらい媒体を理解して下さい。それには、毎日少しの時間でも媒体を読む時間をつくりましょう。

5. 広報PRパーソンは”会社の顔”となれ

我々の業界では、企業の広報PRパーソンは、“会社の顔”とよく言われます。

それは、会社=社長の代わりにメディアへ情報提供するからです。まずは、会社の基本情報として事業概要、特徴(他社にはない強み)、事業方針・計画、業績、社長の理念、趣向など、いつでも記者から質問があっても回答できるようにします。

よく聞かれるのは、社長がどのようなタイプでどのような企業理念を持ち起業し、事業を推進しているのか。業界からみた会社の位置づけなど、日々の社内情報にも精通しておくことが大切です。

6. 文章力を磨くには、新聞や書籍が有効

先ほどのメディアを知ることが重要と解説しました。メディアの報道記事を読むことで文章力もupします。なぜか。プレスリリースは、新聞への情報提供資料が原型となっています。

1960年代に、国内にもPRエージェンシーが設立され広報活動が開始されました。当時は新聞全盛時代でした。

新聞の報道構成に基づき、起承転結の逆からプレスリリースのフォーマットになっています。また、文章表現も新聞が基本となります。

新聞の見出し=プレスリリースのタイトルに類似しています。プレスリリースのタイトルが記者に刺さるかが重要となります。これは新聞に精通すれば、インパクトのある見出しが表現できます。様々な書籍を読むことも文章力がつきます。

私がPRエージェンシーの採用面接時に、社長からの質問で「君は本は好きか。何を読んでいるか?」「購読している新聞は?」を聞かれました。後に社長から本を読まない人は、広報PRパーソンとして資質がない。この質問で採用を判断していると聞かされました。

その質問の意味は、当時の私には理解できませんでしたが、この仕事が続けられた要因の一つかもしれません。

7. 広報は“知的格闘技”~レクチャー力を磨いて下さい

広報PRパーソンは、メディアと接し、ヒアリングや伝える=話すことが基本になります。

例えば、記者の面談時、急用で10分しか時間がない。5分内で情報提供のレクチャーをし、5分で記者の質問に対応しなければいけない。逆に、ゆっくり食事を挟みながら面談ができるケースもあります。目的とした情報提供のレクチャーが15分で終わり45分も時間があったら…

その場の対応を臨機応変に記者に満足頂ける場にすることが皆さんの役割となります。

私は、目的とする情報提供以外にも、事前に記者の報道頻度や取材傾向を調べたうえで、面談するようにします。

ある全国紙の記者の方に初対面時、取材し目的のリリースをもとに情報提供しました。生憎、関心をもってもらえませんでした。そこで、私は記者の話を察して、口頭で別のクライアント情報をレクチャーしました。すると記者が関心を示し、この情報は凄い。ぜひ取材をしたいと、その場で取材の確約をとりました。

私は日頃から、記者面談時は取材意欲を駆り立てる情報を必ず提供することを課しています。記者にとって貴重な面談時間、情報という“お土産”をぜひ皆さんも差し上げて下さい。

8.メディア人脈が広報パーソンの財産だ!

俗にいう「一期一会」という言葉があります。もう古いよ、なんて思っている方も多いかと。でも、私がこの年まで現役を続けられた大きな要因に人脈があります。ではどのような人脈を築くのか。高度なテクニックは必要ありません。

会う方に対して誠意を待って接し、決して嘘はつかない。これが長きに亘り良好な関係でメディアの方々とお付き合いさせて頂いています。私たちとメディアの方々とは、対等な立場です。こちらから情報提供・取材依頼をします。逆に記者の方々から取材の申し込みがあれば、速やかに受け入れ対応します。

記者の方も皆さんと同じように、上司もいて、取材企画の練り直しや取材原稿の直し、取材先の変更と、毎日苦労され活動されています。もし、記者の方から企画のヒントや取材先の依頼や相談があったら、できる限りの満足してもらえるよう対応して下さい。“困ったときはお互い様精神”が、人脈が広くまた深くお付き合いできます。

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記事の執筆者
三上毅一
三上 毅一
シニアPRコンサルタント・書籍プロデューサー

学校法人先端教育機構 事業構想大学院大学/地域活性と事業構想の特別講師。2019年より広報初心者のためのオンラインサロン「ゼロイチ広報」講師。PR業界歴36年。上場企業、中堅・ベンチャー企業問わず、戦略策定から広報担当者の育成までこなすベテランPRマン。豊富なマスコミ人脈を活かし広報PRの指南役として、BtoBからBtoC企業を幅広く担当、500社以上の実績を持つ。

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【媒体研究】4大ビジネス誌を攻略する
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