スタートアップのためのPR会社
ベンチャー広報です。
広報というと、イケメンや美女が流暢にカッコよく取材対応をしたり、時にはプレゼンテーションをしたり、そういうキラキラした姿だけを想像してしまい「私は口下手だし、広報なんか絶対に無理だよな」と思うかもしれません。
結論、あなたのその思い込みは大きな勘違いです。広報はむしろ口下手の方が実はうまくいく。今回はその理由を3つ、解説します。
これは「口下手でも熱意があれば広報は大丈夫だ!」「口下手をこうやってカバーしたらうまくいきます」的な話ではありません。
口下手である、そのありのままのあなた自身が、広報という業務においては大きな強みになるのです。
広報は口下手の方が実はうまくいく理由1
仕事の本質はしゃべることではないから
広報における登場人物を大きく分けると3つに分類されます。
「自社の社員や経営陣」「メディア関係者」「世の中の生活者」です。
広報という仕事の本質は、この3者を”情報”を使って戦略的にコーディネートしていくことです。プロデューサーというイメージに近いかもしれません。
もちろん、自分自身が表に立って情報発信をされる広報担当者もいますし、それも方法の1つですが、それが唯一の広報の姿だというのは間違いです。
しゃべりが流暢でプレゼンが得意な人は、いつまでも自分が最前線のステージに立ち続けようとします。もちろん自分の強みを活かすという点では、それも立派な戦略です。
ただ、こういうタイプの人は広報の全体感を俯瞰で見れない傾向があります。自分自身が表に出てしゃべるというのは広報のいち手段にしか過ぎないのに、しゃべりが上手いがゆえに手段が目的化してしまう。これには注意が必要です。
一方で、口下手な人はそもそも、自分がメディアの前や多くの人の前でしゃべって発信することに、根本的に苦手意識があります。だからそういう広報手段に固執しません。
口下手な人ほど、自分がしゃべる以外のところで、どうしたら広報としての価値を発揮するのかを必死で考えます。
「誰に何をどう伝えるか」「その結果、どんな行動変容を促すのか」こういった広報の本質を理解して行動できるのは、むしろ口下手な人に多いのです。
広報は口下手の方が実はうまくいく理由2
しゃべりに自信が無い人こそメディアに信頼されやすいから
当たり前ですが、口下手な人ってしゃべることが苦手です。だから、誰かに何かを伝える時に、なるべく短く話して済ませようとします。そうするとどうなるか。
自然と、結論から話して必要最低限な事だけを伝えることになります。実はこれって、記者さんが広報担当者に求めている重要な要素なんです。逆に、記者さんが一番嫌がるのは、ダラダラと出口の無い話をされること。
これは僕が実際見てきた例ですが、口下手の人って自分が口下手だと分かっているので、メディア対応の前は不安なので、かなりいろいろ調べたり用意周到に準備をします。
なんでそこまで準備をするのか?それは不安だからです。ご想像の通り、きちんと情報を調べて対応する広報パーソンと、口八丁手八丁でその場を乗り切ろうとする広報パーソン、どっちがメディアに信頼されるのかは明白ですね。
また、口下手の人って誤魔化さないんです。要は分からない事は「分からない」と答えて「今日中に調べてメールします」とかそういう対応をきちんとします。
逆に、おしゃべりが上手な人は、自分の分からない事を質問されても、いわゆる「煙に巻く」という事ができてしまうので、結果としてメディアからは「あの人の言ってる事、どこまで信用していいのか分かんないな」「なんかあの広報うさんくさいな」と思われがちです。
記者さんは相手の話を聞くプロなので、自分を煙に巻こうとしているかどうかぐらい、一瞬で見抜きますからね。
広報は口下手の方が実はうまくいく理由3
一般人の気持ちが分かるから
口下手な人にありがちなのは、自分の中でものごとを言語化するのが苦手なタイプです。理由はいくつかあるんですが、瞬時に頭の中で話を組み立てたり、もっと言うとそもそものボキャブラリーが少ない場合もあります。
「おいおい急に口下手をディスり出したな」と思われるかもしれませんが、これ、広報ではとても重要な要素なんです。
日々電車に乗っている人、街を歩いている人、公園で座っている人、それら世間一般の人々の多くはそこまで豊富なボキャブラリーがあるのでしょうか?頭の中で自分の考えを瞬時に言語化できるでしょうか?
勿論、そういう人もいらっしゃるとは思います。ただ、日本人は豊富なボギャブラリーで自分から何かを巧みに表現したり発言するのが得意ではない人の方が圧倒的に多いんです。
つまり、口下手であるという時点で、それら多くの一般人と同じ目線を持てているということになります。
例えば、取材の現場で、広報パーソンがメディアへの説明で専門用語等を駆使して流暢にプレゼンをして、その姿そのものはめちゃくちゃカッコイイんですけど、メディアからの反応は「なんか、何言ってるか後半よく分からなかった」なんてこともよくあるんです。
一方で、口下手の広報パーソンは、”しゃべりが苦手”という前提があるので、しっかりと調べて、結論から、難しい表現を使わずに端的に話す傾向にあります。
その企業の事業内容やサービスを全く知らない人にとってどっちが分かりやすいのかというと、実は口下手の人のプレゼンに軍配が上がります。
広報って、言葉の構成からも分かるように、本質は「広く報じる」です。
つまり、広くあまねく生活者の気持ちが最も分からないといけない職種の1つでもあるんですね。そういう点で、口下手という点は、一般の生活者と同じ目線を持ちやすいという点で強みになると思います。