スタートアップのためのPR会社
株式会社ベンチャー広報です。
「1日がかりで撮影したのに放送されたのは10秒だけ!」
「せっかく取材を受けたのに、ちょっとしか掲載されなかった!」
広告とは違い、露出の大きさがコントロールできない広報PRの世界では、こういったことはよくあることです。
当然、テレビには番組またはコーナーで決められた放送時間(いわゆる“尺”)がありますし、雑誌や新聞などの紙媒体では、誌面の大きさやページ数が決まっています。
その中で、1秒でも長く、1cmでも大きく、自社の記事を出すにはどうしたらいいか?
今回は、広報PR担当者の中でも意外とできていない人が多い、ちょっとしたテクニックをお伝えしたいと思います。
露出の大きさは、ビジュアル素材の有無で変えられる!
前段でも話した通り、基本的にマスコミ広報での取材では、マスコミ側に編集権があるので企業側ではコントロールできません。
特にテレビは、1社だけを紹介してくれることはなかなかなく、類似サービスや企画テーマにあった他のサービスと一緒に紹介されることが多くなります。
そういった中で、少しでも自社について長く大きく紹介してもらうために、意外と効果的なことがあります。
それは、「ビジュアル素材の提供」です。
ここでいうビジュアル素材とは、自社のサービスや商品の特長がわかる、動画・画像・図などのことを指します。
具体的に私がこれまでに経験した、2つの事例を紹介したいと思います。
1つ目は、ライドシェアサービスを運営しているN社の事例です。
ある朝の情報番組でN社の取材をしてもらえることになりました。
コーナー全体で約10分程度の尺、企画テーマは「最近話題のライドシェアサービスとは?」というもので、競合他社含め全部で3つのライドシェアサービスを紹介するというものでした。
『実際の利用者が、サービスを利用している様子を撮影したい』
という番組側の要望を受け、私はサービス会員の中から取材に応じてくれる方をアサインし、【40代男性・会社員の方の運転する車に、20代・男性の学生が乗車して東京から名古屋まで相乗りで移動する】という撮影を行いました。
普通に考えれば約10分のコーナー枠を3つのサービスが紹介されるのですから、1サービスは約3分です。
しかし、「競合よりも1秒でも長く紹介されたい!」と思った私は、取材終了後ディレクターに、
「今回は男性の利用でしたけど、女性の利用者も多いんですよ!あとは、車持っていない家庭が増えているので親子でアウトレットに行くために利用する方もいます!」
という情報を伝え、こちらであらかじめ用意していた、女性や親子が利用している様子がわかる動画データを提供しました。
その結果、あとから提供した動画データも使われることになり、10分の尺の中でN社が紹介されたのは約6分。競合サービスの倍以上の長さで紹介されました。
これがもし、画像データしか用意していなかった場合、もしくは素材そのものを用意できていなかった場合、競合がメインになりN社は “おまけ”扱いになっていたでしょう。
2つ目は、雑誌での事例を紹介します。
スタートアップ企業のB社が開発しているシステムは、仕組みがかなり新しく複雑で、とても口頭で説明しただけでは理解するのが難しいものでした。
しかも、システムなので目に見えない、さらにそのシステムを使った製品もまだ世の中に出ていない。PR的にはかなりハードルの高いものでした。
ただ、新しく複雑なものほど、ビジュアルで見せることが大切です。
そこで、次の3つをあらかじめ用意することにしました。
- システムの仕組みを説明する図
- システムが導入された製品のイメージ画像
- 実際に製品が利用されているイメージ画像
ある日、B社があるビジネス誌で取材をしてもらえることになりました。
会社設立の経緯や開発しているシステムについて、片側1ページの半分くらいの大きさで記事にしてくれるとのことでした。
案の定、取材後に記者から
「テキストだけだと読者がよく理解できないと思うから、システムの仕組みをわかるように図でもらえますか?」
という依頼を受けました。
もちろん、事前にシステムの仕組みを説明する図を用意していたので、すぐに画像データを提供しました。
しかし、ここでも「少しでも大きく掲載されたいなー」と思った私は、
記者の「テキストだけだと読者が理解できない」という言葉を受け、事前に用意していた、
- システムが導入された製品のイメージ画像
- 実際に製品が利用されているイメージ画像
この2つも一緒に提供し、さらに製品の運用画面イメージ画像も提供しました。
雑誌発売日、記事を確認すると…
なんと、見開き2ページに掲載の大きさが変わっていました。
当初予定していたのは片面1ページの半分だったので、4倍の大きさです。
マスコミは、取材したサービスや製品を、“わかりやすく”視聴者や読者に伝えるためにはどうしたらいいか?を考えています。
その意図を汲んで、それを解決するようなビジュアル素材が提供することができれば、露出の大きさは変えられる、という良い事例です。
最後に、ビジュアル素材を用意するときのコツをお伝えします。
写真であれば、記事のスペースに合わせて使ってもらいやすいように、【縦向き】【横向き】どちらも用意すること。
動画であれば、【横向き】です。
また、商品がある場合は、動画でもブツ撮りしておくとテレビへの提供もできるようになります。
その場合は、8秒以上映すこと!これが大切です。