記者と長くコミュニケーションを続けるコツとは? 35年のベテラン広報パーソンが伝授!

記者と長くコミュニケーションを続けるコツとは? 35年のベテラン広報パーソンが伝授!

スタートアップのためのPR会社
ベンチャー広報の三上です。

皆さんも広報担当になり、どうしたら記者と長い間お付き合いができるのか、悩んでいる方も多いのでは…。

私がPR会社に入社して、まず取り組んだのは、記者の名刺集めでした。自分に課したのは、毎日2枚、1か月に最低40枚を集める事を目標にしていました。面談した記者の性格や関心事、好きな食べ物、趣味、住んでいるエリアなど、売込み情報以外に記者情報をとにかく聞きまくりました。その情報を名刺の裏にメモしました。それを3年続けようと自身に課しました。

毎日、担当クライアントのプレスリリースを持って、とにかく面談をしました。まずは、「自分は新人で、現在 広報・PRの事を勉強中です。〇〇様にぜひお伝えしたい情報がございます」的な、必死の電話コンタクトでした。

キーワードは、記者の“追っかけファンになれ!”

普通のPRパーソンは、名刺を集めるだけで終わってしまいます。私は毎朝、一般紙、スポーツ紙、前日の一般紙夕刊、夕刊紙、産業経済紙。その他一般週刊誌など、30媒体程の報道チェックやクライアントの掲載クリッピング業務を続けていました。

日々の報道で、面談した記者の方の記事も切り抜き、ストックしていました。これを使い、今度面談する記者がどのような取材をしたのか、過去の記事の傾向も分析し面談時の話題にしました。記事の感想や意見、関連する業界の話題やトレンド情報、取材中のテーマや取材先企業など、とにかく聞きまくりました。

初めは、胡散臭い、広報が分からない人物と、“塩”対応の記者もいました。でも売込み情報があるたびに面談をトライし、電話コンタクト10回に1回、5回に1回、2回に1回と、徐々に面談頻度が増えてきました。何回か会って頂くと、少しずつお互い打ち解けてきました。私は、だんだんその記者の方のファンになっていきました。単に売込み情報だけなら、30分で終了。しかし事前分析していると1時、長い時は2時間も話ができました。

記者は取材した記事が、どのように読まれ、好意的なのか否定的なのか、大変気になるものです。また、担当する業界関連企業の情報も関心を持っています。他の媒体で、競合企業の報道があれば、報道の内容や自身の感想・意見も話題にしました。

時には、ある週刊誌の副編集長が「銀行員のリストラの実態について、特集企画があり銀行員のコメントがとりたいが、つてがなく、困っているんだよ。明日までにコメントを取れないと編集長に怒られるんだよ~」と、何気ない会話でした。私は聞き逃さず、ちょうど私の弟が銀行マンだったので、その場で電話して、兄貴の特権で電話インタビューを設営しました。

その副編集長は、編集長になり、いまだにその時の事を感謝されます。このような記者とのやりとりが徐々に増えてきて、売込みを目的とした情報は全体の時間のわずか2割。その他は雑談となりました。記者の方も、「三上と話すと色々情報収集ができる」「この人間と会うとメリットがある」と思ってくれたようで、多忙の時でも面談頂ける関係を築けました。

記者と末永く付き合う“4つのポイント”

  • 1. 面談時は「記者にとって、今知りたい情報は何か」のスタンスで臨む。

自社の情報しか知らない広報パーソンとは会いたくもありません。プレスリリース以外でも関連する情報を知っている人と記者は会いたいと、多くの記者と面談をして分かりました。1社、気軽に連絡がとれる記者ができれば、今度は違う部署や上司、部下の記者を紹介頂けます。ここまでの人脈ネットワークができれば、後は、記者と長く付き合いができるようになっていきます。

  • 2. 取材後の御礼と気の利いた感想やコメントを添えましょう。

取材頂き、記事となった時は、まずは掲載の御礼と記事の感想、取材者の御礼コメントなどを添えて、メールや手紙でメッセージを送りましょう。

  • 3. 「掲載紙を送って下さいは」タブー。

企業の広報の方から、掲載紙・誌の入手方法についてよく尋ねられます。また、記者の方からは広報パーソンの教育が行き届いていない事例として話がでます。取材から掲載に至り、広報の方から、御礼と合わせて「掲載紙が欲しいので、至急数部送って下さい」といった連絡があると。これは記者の役割を分かっていません。この一言で記者との関係も崩れてしまうケースもあります。記者は販売をする部署にいる人ではありません。

まずは記者にお願いする場合は「掲載紙・誌について購入させて頂けませんでしょうか?」これが正解です。大概、記者の方の好意で「無料で送りますから」と言って頂けます。

  • 4. アナログツールの活用で関係をより長く。

私は30年来、長きにわたってお付き合いしている記者の方も多くいます。まずは、年賀状を欠かさず出しています。皆様も、取材で名刺交換された記者の方に、年賀状を出してみてはどうでしょうか。意外と効果的ですし、その年に会っていなくても、欠かさず送っている記者もいます。

記者の方は年末、企画や長期休暇前のまとめ取材が重なり、1年の中でも最も多忙な時期です。つまり、記者の方からは年賀状は頂けません。そこは気にせず、毎年出しました。年明け早々に、3年会っていなかった記者の方から「今度、担当部署が変わり、以前取材したクライアントの取材をしたいので会いたい」との、突然の連絡を頂くケースもありました。

SNS主流の現代、年賀状は、逆に記憶に残る広報ツールとなります。記者面談や取材頂いた記者の方への対応、また以前取材頂いた記者の方とのコミュニケーションについて、何かご自身でできる方法があれば、ぜひトライしてみて下さい。

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記事の執筆者
三上毅一
三上 毅一
シニアPRコンサルタント・書籍プロデューサー

学校法人先端教育機構 事業構想大学院大学/地域活性と事業構想の特別講師。2019年より広報初心者のためのオンラインサロン「ゼロイチ広報」講師。PR業界歴36年。上場企業、中堅・ベンチャー企業問わず、戦略策定から広報担当者の育成までこなすベテランPRマン。豊富なマスコミ人脈を活かし広報PRの指南役として、BtoBからBtoC企業を幅広く担当、500社以上の実績を持つ。

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【媒体研究】4大ビジネス誌を攻略する
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