年度初めに向けての広報計画とは
新人広報パーソンのための広報いろは。

年度初めに向けての広報計画とは

ベンチャー企業・スタートアップのためのPR会社
ベンチャー広報の三上です。

年が明け、企業では4月の新年度に向けて、経営・事業計画を進めていく時期に入ります。私がコンサルをしているクライアントや新人広報パーソンの方から、「広報計画を立案したいが、進め方が分からない」といった質問、相談が大変増えてきました。

今回は、皆さんの基礎知識として備えておきたい初歩的な取り組みについて、解説いたします。

「広報計画」ってナニ?

皆さんは日々、プレスリリースの配信や取材対応といった業務に追われているかと思います。これは目先の情報を単に処理しているにすぎません。

広報計画は、自社を俯瞰的に捉え、自社の経営方針、事業計画に基づいた戦略的な広報活動とスケジューリングを意味します。期間は四半期、半期、通年など様々で、一般的には年間で1~2つ以上の山場を作ります。あくまで「計画」であり、定期的に見直し修正していきます。

目的は、様々なステークホルダーに対して、企業や商品を認知してもらい、ファンを増やし、社会的評価を得て企業価値を高めることです。

「広報計画」のスタイルは

これは企業環境により様々です。また、広告代理店のようなビジュアル面を重視した文書を作成する必要もありません。経営幹部から各部署の社員と共有できるものであれば、ワードなどでの作成でも構いません。

「広報計画」を立てる3つのメリット

(1)経営メンバーと同じ方向を見て進める
計画のベースとなる指針は、企業理念や経営・事業計画に基づき、広報計画を策定していきます。最も重要なのは、経営トップの考えを計画に反映していく事です。自ずと方向は定まっていきます。

(2)“ぼっち広報”から社員全員広報へ/経営幹部&社員全員が広報パーソンに!
プランづくりには、社内の各部署を巻き込んだ情報収集が必要です。各部署との接点を持つことで、広報機能や役割が社内にも浸透します。皆さんが悩まれていた“ぼっち広報”から“社員全員広報”への意識が醸成されるでしょう。

(3)中・長期目線で広報活動を捉えられる
日々の広報業務に追われ、同じ活動ではマンネリに。またパブリシティ活動において、メディアサイドからすれば、毎回類似の情報提供をされても、関心や取材意欲も薄れてきます。最後は見向きもされなくなります。

前職で私がコンサルしていた企業では、半導体製造装置メーカー45年、大手パンメーカー40年、大手エンターテインメント/玩具メーカー45年、大手空調機器メーカー48年、美容機器総合商社45年と、長期間の契約が大半でした。

私の場合は、PRエージェンシーの立ち位置ですが、契約が継続できたのは、毎年の振り返りとクライアント方針を的確に捉え、合わせてメディアニーズを踏まえた戦略的な年間プランを策定していたことが要因の一つです。

「広報計画」を立てる上で最初にすべきこと

(1)現状が明確に把握されているか
どのような事業計画でも、振り返りが必要です。広報活動では、前年の活動の振り返りとして、情報発信数やテーマ・内容・種類、報道媒体数、報道先・記者、報道論調などを精査していきます。
⇒誰が、何をどう認知・評価しているのか。独自の認知度調査やデータ整理は不可欠。
⇒どの媒体で、誰に、何を、どう発信できているのか。全媒体・全活動の再評価が不可欠。

(2)情報発信・共有すべきことが明確になっているか
可能な範囲ですが、以下の視点も参考にして精査して下さい。
⇒競合と比較した自社の強み・特徴・想いは棚卸しができているか。
⇒経営・事業活動上の課題の解決につながるか。

この先は、プランづくりの工程に入ります。

(3)広報計画を立てる上での組織作りとヒアリング活動
社内各部署へヒアリングやミーティングを実施して、プラン策定のための基本情報を収集します。経営・事業計画、年間行事・イベント、重要活動などです。また広報への要望もヒアリングしましょう。経営企画、人事、営業、技術・開発、生産・工場、広告・宣伝、マーケティングなどのセクションです。

(4)広報活動の優先順位付けを行う
これも一例ですが、以下項目の優先順位を考え、各テーマに沿った広報活動の基本プランを策定してみて下さい。

例えば、採用強化、コーポレートブランディング、代表の認知拡大、マーケティング強化(SEO、WEB流入増)、マーケティング・サービス広報(申し込み、売り上げアップ)、社員エンゲージメントを上げる、新規サービス立ち上げ、顧客との新しい接点作り、メディアリレーションズ、危機管理、社内・グループ広報、CSR、広報活動の効果測定、など。

企業環境・広報環境は、日々移り変わる時流や世の中の環境変化によって一定ではありません。特にコロナ禍となり、さらに変化しやすい環境に適応しながら、一貫したメッセージを発信し続けるために重要なのが、広報計画です。この広報計画に基づき、日々の広報活動を進めPDCAを回しながら、改善を行う体制を整えることも広報の大切な役目でしょう。

このように、戦略的な広報活動は自社のPR力の底上げにも有益なもの。しかし、広報初心者にとって、いきなり広報計画を練るのは意外と難しいですよね。まずは、プレスリリース配信や掲載記事のチェックなど、目の前にある業務の質を上げる工夫が大切ではないでしょうか。小さなことからコツコツ改善していき、広報活動の目的や自社のPRにとっての最適解を見つける意識も必要です。余裕があればプラン化にチャンレンジして下さい。

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記事の執筆者
三上毅一
三上 毅一
シニアPRコンサルタント・書籍プロデューサー

学校法人先端教育機構 事業構想大学院大学/地域活性と事業構想の特別講師。2019年より広報初心者のためのオンラインサロン「ゼロイチ広報」講師。PR業界歴36年。上場企業、中堅・ベンチャー企業問わず、戦略策定から広報担当者の育成までこなすベテランPRマン。豊富なマスコミ人脈を活かし広報PRの指南役として、BtoBからBtoC企業を幅広く担当、500社以上の実績を持つ。

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【媒体研究】4大ビジネス誌を攻略する
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