モノトレンド誌を知る
新人広報パーソンのための広報いろは。

モノトレンド誌を知る

ベンチャー企業・スタートアップのためのPR会社
ベンチャー広報の三上です。

皆さんは、雑誌のジャンルとして“モノトレンド誌”をご存知でしょうか? 「モノ=物」「トレンド=潮流、流行」を意味します。今回は、このジャンルについて解説します。

モノトレンド誌と広報

企業活動の中で、自社製品やサービスを開発し収益を得るのが事業の根幹になっています。これらを広告宣伝や広報PRにより、世の中に訴求させていくのが重要になってきます。

今から40年程前は、広告宣伝の全盛時代で、多くの企業が多大な予算を割いて訴求していました。合わせて新聞・雑誌・TVメディアでの報道も多大な影響力があり、広報PRもリンクさせながらシナジー効果を狙う企業も増えてきた時代とも言えます。

私が新人時代に最も多くの情報提供したのが、マーケティングPRの中で新製品・新サービスです。当時、業界のリーディングカンパニーを多く担当していたため、ほぼ毎日3~4テーマのプレスリリースを作成し、メディアへの情報提供を行っていました。

情報提供先として、(1)記者クラブへの発表(2)雑誌~新聞の新製品・新サービスコーナーへの情報提供(3)TV経済・情報番組の優先順位で進めていました。特に(2)の雑誌~新聞での展開を重要視していました。

雑誌の中でもストレートに新製品情報を報道するのが“モノトレンド誌”となります。新人広報パーソンには、プレスリリースの基本形や文章作成力、またメディアへのプレゼンテーション力を習得するには、理解しやすくシンプルな分野になります。私はこの業務により、基本的なスキルが習得できたと考えています。

モノトレンド誌とは

このジャンルのメディアは、“トレンド”と深い関係があります。1980年代以前、新聞で新製品コーナーは既に存在していました。今でも常設されていますが、企業の新製品概要と特徴を短信(新聞、雑誌などに載せる短いニュース)で、報道していました。

1985年頃から1993年頃のバブル期に入り、「トレンド」という言葉が生まれます。経済紙/誌上のトレンド分析、トレンディドラマ、月9、トレンディ俳優と、次々と現代用語が話題となりました。個々の流行の意味で使われますが、長期的に見て人々が求めるものや、時代の要請を探り、次の計画や企画に生かそうといった趣旨でも使われます。この時代に、モノトレンド誌が次々と創刊されました。

私の知る限りでは、特選街(マキノ出版/1979年)、monoマガジン(ワールドフォトプレス/1982年)、DIME(小学館/1986年)、日経トレンディ(日経BP/1987年)、Begin(世界文化社/1988年)、 GoodsPress(徳間書店/1988年)と、1980年代に創刊されています。
※発行元は現在の出版社を表記

創刊の背景には、1970年代は高度成長期の安定成長期に入り、工業製品のデザイン・性能・使い心地などこだわったものが多く生まれたことがあります。そこに、1980年に入り“トレンド”が生まれ、この分野と融合した新世代の雑誌が次々と創刊されました。

この分野の強みは、各誌編集部が読者のニーズにマッチした多くの工業製品の中から厳選した製品が記事として紹介されることです。広告とは違い客観・中立を旨としていて、編集部が魅力を感じた製品を分析・紹介しますので、読者は「有名なトレンド雑誌が薦めているモノだから良い物だろう」と判断します。読者はモノ=製品に強い関心を持ち購買マインドが強いので、製品購買の確率が高まります。

当時、私はちょうど新人広報パーソンとして、これらのメディアへ多くの情報提供を行っていました。特に、印象的だったのはmonoマガジン(ワールドフォトプレス)です。当時は月刊誌で様々な分野の新製品情報を紹介するコーナーがありました。私もクライアントの新製品情報を提供し、多くの報道をして頂きました。報道後、読者からの問い合わせが多くあり、クライアントには大変感謝された記憶があります。

モノトレンド誌の種類

上記でも紹介しましたが、主な媒体と編集概要は以下となります。

◎特選街(マキノ出版)/世の中で流行っているモノの選び方と使いこなし方を分かりやすく説明する。
◎monoマガジン(モノマガジン)/新しいコンシューマー商品を通して、次代のライフスタイルを提案するモノ情報誌。
◎DIME(小学館)/30~40代の好奇心旺盛なビジネスピープルのための情報誌。
◎日経トレンディ(日経BP)/個人生活を刺激する流行情報誌をキャッチフレーズに、トレンドになっている商品、サービス、ビジネスに関する情報を網羅。類似商品の満足度や価格の比較や単に流行を追うだけでなくその「仕掛け人」へのインタビューなど、ビジネス情報誌にもなっている。
◎Begin(世界文化社)/圧倒的な情報量が魅力の「モノ&ファッション」雑誌。
◎GoodsPress(グッズプレス)/物欲旺盛な40~50代の大人のためのモノ・カルチャー誌。
◎Get Navi(ワン・パブリッシング)/商品の魅力を立体的に伝える、リアルなモノ・トレンド誌。
◎MonoMax(宝島社)/smartの大人版。ファッションを中心に、デジモノ、家電から自動車、インテリア、ステーショナリー、ホビーに至るまで網羅。
◎MonoMaster(宝島社)/MonoMaxの大人版。50代の読者へ“Master”と呼ぶに相応しい良品を美しい写真と格調高い文章で紹介。
◎MONOQLO(晋遊舎)/消費者目線で商品を徹底的にテストし、比較検証して紹介。

モノトレンド誌での攻め方の基本

■各媒体の編集方針や報道特性を知る
これまでの攻略法と基本同様です。この分野の媒体は、他誌と差別化を重視している傾向にあります。先ずは誌面リサーチから初めてみて下さい。自社製品やサービスにマッチしている編集方針か、購買ターゲット層かの確認を。

■誌面で特集企画、常設コーナー・コラム欄のリサーチを
誌面構成では、毎号大特集~小特集、ヒット情報、開発者インタビュー、プレゼント情報など各媒体によって違いますので、攻めたい場所が明確となればより掲載確率も高まります。

■情報提供は早めに
雑誌の場合は、隔週や月刊の発行サイクルとなります。そのため、情報を早めに提供することも視野に入れて下さい。

■編集部へのコンタクト
新聞と同様に、編集部先に情報提供を行います。多くの媒体で署名記事も確認できます。また編集後記内に、スタッフ名も表記されている媒体もあります。連絡先は、雑誌表記やホームページから割り出し問合せをしてみて下さい。なかなかコンタクトが難しい場合は、プレスリリースを編集部宛に郵送後、問合せしてみる方法もあります。

■雑誌連動の電子版にも要チェックを
最近はネットメディアとして、各誌電子版拡大にも注力しています。こちらからも編集方針や署名編集者やライターがチェックできます。

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記事の執筆者
三上毅一
三上 毅一
シニアPRコンサルタント・書籍プロデューサー

学校法人先端教育機構 事業構想大学院大学/地域活性と事業構想の特別講師。2019年より広報初心者のためのオンラインサロン「ゼロイチ広報」講師。PR業界歴36年。上場企業、中堅・ベンチャー企業問わず、戦略策定から広報担当者の育成までこなすベテランPRマン。豊富なマスコミ人脈を活かし広報PRの指南役として、BtoBからBtoC企業を幅広く担当、500社以上の実績を持つ。

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【媒体研究】4大ビジネス誌を攻略する
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