「発信すれば終わり」の広報から、いかに脱却していくのか
広報PR・おすすめの一冊

「発信すれば終わり」の広報から、いかに脱却していくのか

『広報DX~次世代の社会を担う情報発信の新指針』は、広報におけるDXをどうやって実現するかを議論した「全世代型社会保障に関する広報の在り方会議」から生まれた書籍です。制度やサービスを正しく使用し、機能を十分に生かすための情報発信について、各界の識者が解説しています。

おすすめ書籍

書籍:『広報DX~次世代の社会を担う情報発信の新指針』
編著者:秋葉賢也
出版社:宣伝会議

この書籍は「広報におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)をいかに達成させるか」をテーマに、2020年に首相官邸 秋葉内閣総理大臣補佐官室(当時)によって開かれた「全世代型社会保障に関する広報の在り方会議」の構成員によって書き下ろされたものです。

今後、広報はデジタル社会において「発信すれば終わり」から、どのように脱却していくべきか――。情報発信について各界の識者が解説する、企業広報も必読の一冊です。

執筆者陣

・秋葉賢也/衆議院議員、前内閣総理大臣補佐官:編者
・砂金 信一郎 LINE/政府CIO補佐官
・伊沢 択司 QuizKnock CEO
・岡田 聡 ヤフー メディアチーフエディター
・河井 孝仁 東海大学文化社会学部 広報メディア学科 教授
・佐久間 智之 PRDESIGN JAPAN 代表取締役
・薄 阿佐子 インターブランドジャパン エグゼクティブディレクター
・田代 光輝 慶應義塾大学 政策メディア研究科 特任教授
・立谷 光太郎 博報堂 顧問
・殿村 美樹 地方PR機構 代表理事
・富永 朋信 プリファードネットワークス 執行役員CMO
・森下 郁恵 宣伝会議

書籍概要

コロナ禍の2020年、「全世代型社会保障に関する広報の在り方会議」が開催されました。立ち上げ目的は、社会保障の趣旨を国民一人ひとりに、わかりやすく伝えるための広報のあり方を探ることです。

秋葉氏は、この会議を通して見えてきたことは「本質的なコミュニケーション上の課題」と述べています。本書では「デジタル技術」を用いながら、それらの課題を解決する考え方について、各分野の専門家が解説する構成になっています。以下、参考ポイントです。

(1)企業広報目線で見ても参考になる、行政広報の事例
本書は行政広報における例が多いですが、「自社の商品やサービスについて、正確な情報を届けて使ってもらいたい」という思いを持つ企業広報としても、参考になる内容です。

「企業と行政、共通の課題」も参考になるトピックかと思います。「伝えたつもりでも伝わらない」「情報リテラシーによる不利益」「届かせるところまで考えられていない」など、行政広報の課題を例に紹介されています。

コロナ禍、行政の情報発信の在り方について、国民として疑問を感じる場面が多々ありましたが、企業広報に置き換えると「私たちも同じような広報活動をしていないか?」とハッとさせられる部分もありました。

(2)広報におけるDXとは、ITによって広報の質を高めること
ITで実現させるべき質の高い広報とは「情報を受けとるタイミングに気を配り、個々人の望む選択ができるよう助けるということ」であり、リアクションの蓄積・分析・改善を短期間に繰り返すということが必要であると述べています。

そのために必要な動きとして、企業広報も大変参考になるトピックが紹介されています。「コミュニケーションで押さえるべき人の性質」「意思決定支援広報の設計」などは、これからの広報戦略を考えていくにあたって、見直すべき項目かもしれません。

まとめ

私が印象に残っているのは「ツールよりも組織文化の形成」「デジタルと日本的な型文化の融合」などの章で書かれていた、本質的な部分の話でした。

広報DXを実装していくとなれば、まずはどうしてもデータ収集や分析、そのためのツールに目がいきがちになるかもしれません。しかし、よく聞く「DX失敗談」そのものになってしまいそうな不安もあります。

デジタル化といっても「人間の、一朝一夕には変わらない部分」にも改めて目を向け、アナログ的な実践が必要になる場面もまだまだあることを理解しながら、ツール活用にも柔軟にチャレンジしていく必要があると感じました。

「広報とはこういうものだから」という思い込みを取り払い、広報業務を見つめ直すきっかけになる一冊なので、ぜひ読んでみてください。

書籍:『広報DX~次世代の社会を担う情報発信の新指針』
編著者:秋葉賢也
出版社:宣伝会議

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記事の執筆者
宇都宮 知香
シニアPRコンサルタント

大学卒業後、大阪のスタートアップ企業にて広報機能を立ち上げ、年間100件以上の露出に対応。その後、ベンチャー広報に入社。プラットフォーム、セールス、医療、NPO、寝具など幅広い業界のPRに携わる。

記事の執筆者
宇都宮 知香
シニアPRコンサルタント

大学卒業後、大阪のスタートアップ企業にて広報機能を立ち上げ、年間100件以上の露出に対応。その後、ベンチャー広報に入社。プラットフォーム、セールス、医療、NPO、寝具など幅広い業界のPRに携わる。

宇都宮 知香
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