媒体研究~一般紙の生活・家庭面編~
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媒体研究~一般紙の生活・家庭面編~

36年のベテラン広報パーソンが伝授!

広報PRパーソンとして、新聞の紙面構成を知っておくことは、基本の「き」と言えるでしょう。そこで、今回は新聞の「生活・家庭面」について解説します。この生活・家庭面は、経済面、社会面と同様に、企業情報が報道される確率の高い紙面です。扱う領域も広いため、狙い目のページではないでしょうか。

生活・家庭情報が紙面化された背景

新聞は、様々な報道対象によって紙面(ページ)を構成しています。現在は一般的に、「政治」「経済」「社会」「生活・家庭」「文化」「国際」「スポーツ」「オピニオン」などが、基本パターンです。こうした報道対象、紙面は、時代に応じてさまざまな背景から作られてきました。

その中で、専業主婦を主要なターゲットとしたページとして、家庭面あるいは婦人面が紙面化され、固定化されたのです。現在から70年ほど前は、女性の社会進出が今ほど進んでおらず、昼間在宅していることもあり、新聞購読の決定権は専業主婦でした。つまり、主婦層が関心のある情報をカバーすれば、購読に繋がるからという理由で創設されたのです。

新聞各社は、主婦層に支持される情報を報道することで、購読者数を増やしていくことにしのぎを削っていました。その後、これらのページは「くらし・生活面」など、新聞社によって様々な名称に変わっていきます。

さらに関連して、「医療・健康面」といった日常の病気や医療を扱うページも増えました。また、教育面と呼ばれる子どもの教育をカバーしたページは、受験戦争が始まったころから定番となりました。そのほか科学面といった名称で、テクノロジーを含むサイエンス分野を専門に扱った面も創設されてきました。

生活・家庭面の歴史と特徴

産経新聞社の社史によりますと、1950年4月1日に日本初の婦人面が創設されました。当時は「婦人経済」面をうたっていたとのことで、「婦人面の産経」として評判をとっていたそうです。

筆者の新人時代、先輩から「産経新聞の家庭情報は充実していて影響力があるから、いつでも情報提供できる関係記者とリレーションを意識するように」と言われていました。

産経の婦人面(現・生活面)から生まれた企画として、作家・檀一雄さんの「檀流クッキング」(1969年~1973年)があります。檀一雄(女優、檀ふみのお父さん)が、男性が厨房に入ることを肯定的にとらえた企画の先駆けでした。当時は、料理は女性がするもので、男性が料理をする意識はほとんどありませんから、画期的な企画です。

また、今も継続しているものに「がん紙上110番」(1980年~、現在は「がん電話相談から」)があります。がんの告知が今のように行われていたわけでない時代に、新聞紙上を使っての本格的ながん相談も、目新しい企画です。他には1ページまるごと料理の話題を扱ったカラーの料理面(毎日)も話題になりました(現在は料理レシピのみ)。

現在、報道分野は、かなり細分化されています。ファッション、料理、健康、子育て・教育、介護、仕事、シニア、お金、社会保障など、広範にカバーされています。新聞社によって分野も違い、朝・夕刊での紙面構成にも差があります。特に曜日ごとに報道分野が違いますので、情報提供を的確かつスムーズに進めるためにも、ぜひ各社の紙面構成を把握しておきましょう。

生活・家庭面への攻め方は

経験上、経済、社会面と同様に、企業情報が報道される確率の高い紙面といえます。企業の業種・業態で、カバーされているジャンルがあれば、さまざまな情報提供が可能。新製品・サービス情報、画期的な技術情報、生活に関連した調査情報などです。

記者からは、自社の情報にとどまらず、業界や社会全体を俯瞰し、業界全体のトレンド情報や女性層に話題や人気(ヒット)になっている商品やサービスの情報にも関心があるとよく聞きます。

また、新聞各社の関連部署を把握しておくことも重要です。例えば、朝日新聞は「文化くらし報道部」、読売新聞は「生活部」、毎日新聞は「くらし医療部」、産経新聞は「社会部」、東京新聞は「生活部」が主なセクションとなります。ちなみに日経新聞にも「生活情報ユニットグループ」があります。

リサーチのコツ

先ずは、狙いたい媒体を曜日別にリサーチして下さい。夕刊も意外と報道されています。該当面は、比較時的署名記事が多く、担当分野の記者名を容易に確認できます。最近は、電子版でも転載や独自記事が書かれているケースが多いので、これまでの取材記事もリサーチしやすいでしょう。

情報提供する分野に関心を持てもらえそうな記者がいたら、代表電話から直接問合せをしてみます。あるいは、紙面上に情報提供の受付用メールアドレスが記載されている媒体も多いため、そこから情報提供を試みてください。

生活・家庭面は、社会環境や生活スタイルの変化によって、紙面刷新が頻繁で、よく変わる印象があります。加えて、カバーするジャンルも広範で多岐にわたります。企業広報から見ると、toBでもtoCでも生活に関連するさまざまな業種・業態の情報で、取材獲得の可能性がある紙面と言えます。ぜひ、この機会にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

オンラインセミナー開催のお知らせ

産経新聞社 文化部 平沢裕子様が登壇するオンラインセミナーの企画が実現しました。

産経新聞は産経新聞社が発行する全国紙。フジテレビジョンやニッポン放送、ポニーキャニオンなどフジサンケイグループに入ります。関連媒体はサンケイスポーツ、夕刊フジも発行しています。産経新聞、朝刊の発行部数は約150.2万部(日本ABC協会2018年1~6月平均調べ)。先述した通り、日本初の婦人面が創設された媒体です。

平沢様は1991年入社の文化部記者。2003年、第22回ファイザー医学記事賞を受賞。社会部などを経て、文化部で生活面や文化面などを担当。現在も、生活関連で精力的に取材、執筆しています。

生活面での経験を活かし、農林水産省や内閣府の審議会委員を務めています。また、パネリストなどとしても、複数のイベントで登壇。食品や健康に関して、情報の正しい読み方や、団体や企業の実情などについて解説しています。食の安全、健康問題が得意分野です。

今回は、生活面の編集方針・紙面構成、生活面記者の関心分野や企業情報でも提供できる方法も交えて解説頂く予定です。詳細は、後日、弊社ホームページにてお知らせします。メールマガジン「広報PRラボジャーナル」でも告知しますので、まだ購読されていない方は、ぜひこちらから登録(無料)ください。

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記事の執筆者
三上毅一
三上 毅一
シニアPRコンサルタント・書籍プロデューサー

学校法人先端教育機構 事業構想大学院大学/地域活性と事業構想の特別講師。2019年より広報初心者のためのオンラインサロン「ゼロイチ広報」講師。PR業界歴36年。上場企業、中堅・ベンチャー企業問わず、戦略策定から広報担当者の育成までこなすベテランPRマン。豊富なマスコミ人脈を活かし広報PRの指南役として、BtoBからBtoC企業を幅広く担当、500社以上の実績を持つ。

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【媒体研究】4大ビジネス誌を攻略する
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