今起きている、SNSという武器を使った情報戦争
CEOブログ
CEOブログ

今起きている、SNSという武器を使った情報戦争

今や情報戦の主戦場はマスコミではなくSNSです。今回のロシアのウクライナ侵攻から見て取れる、スマホの中で繰り広げられるSNSという武器を使った情報戦について解説します。

情報を制する国が戦争に勝つ

戦争広告代理店』(高木徹・著)を読むと、広報活動の優劣が戦争の勝敗を分けるということがわかります。まだ読んだことがない方は、ぜひこの機会に読んでみてください。

この物語の舞台は、1990年代に起きたボスニア紛争ですが、この時と同じ情報戦が、今まさに、ウクライナ戦争で繰り広げられています。

情報戦の主戦場はSNS

今や情報戦の主戦場はマスコミではなくSNSです。

「衣服は生活必需品」としロシアでの営業を継続する方針を決めたユニクロに対して、ウクライナの駐日大使が、「ユニクロは、ズボンやTシャツを持っているという#Russian(ロシア)の基本的なニーズは、生きるための(ウクライナ)の基本的なニーズよりも重要であると判断した。残念だ!」とTwitterで批判。

これを受けてユニクロは態度を一変し、ロシアでの事業停止を表明しました。たったひとつのツイートが、日本を代表する大企業の事業方針を変更に追い込む。これは衝撃的な出来事でした。

ユニクロのロシアでの事業停止が、ロシアにネガティブな影響を与えることは間違いないでしょう。つまり、ウクライナはTwitterを使って、ロシアにダメージを与えることに成功したのです。

この出来事は、SNSが戦争の武器になることを、再認識させてくれました。

SNSを使った情報戦

SNSを使って、世論や人々の認知をコントロールする取り組みは、すでに数年前から行われています。

例えば、2010年頃に発生した反政府デモ「アラブの春」では、FacebookやTwitterが大きな役割を果たしました。これは自然発生的なものではなく、反政府勢力を支援する西側諸国が、意図的に仕掛けたものだといわれます。

現在、日本国内の情報戦では、今のところウクライナが優勢のようです。ロシアはサイバー攻撃は上手ですが、SNSを使った情報戦は得意ではありません。

在日ウクライナ大使館(@UKRinJPN)と駐日ロシア連邦大使館(@RusEmbassyJ)の公式Twitterの内容を比較してみてください。とても興味深いですよ。

大使館の公式アカウントは、情報の出どころやその意図がわかりやすいので、ある意味、無害です。
一方で、実はもっと厄介で危険なものがあります。

例えば、「日本大好き」「日本食は美味しい」「日本は素晴らしい国だ」とTwitterで発信している外国人がいます。こういうツイートやアカウントには日本人の共感が集まりやすいですね。

しかし、その一部は外国の政府機関が日本での情報操作・世論形成のために運営しているものだという説も。SNSの本当のこわさは、知らず知らずのうちに、自分の考え方や行動が、何者かに意図を持ってコントロールされてしまうということです。

マスコミを使った情報統制の限界

ウクライナ侵攻をはじめてから、ロシアは、国内で主要なSNSへの接続を遮断しました。facebookやInstagramなどを使って、アメリカやウクライナが、ロシア国内世論の操作を防ぐためでしょう。

ロシアは国内向けには、国営放送という自らがコントロールできるメディアで、情報統制を行っています。正直、この手法は時代遅れです。でも、SNSでの情報戦に弱いロシアはそうするしかないんでしょう。

先日、ロシアの国営テレビ局でニュース番組の放送中に女性が乱入し「戦争反対」のプラカードを掲げるという事件が起きました。マスコミを使ったロシア国内の情報統制もそろそろ限界がきています。

今や、ミサイルや戦車を使った軍事的な衝突だけが戦争ではありません。スマホの中で繰り広げられる、SNSという武器を使った情報戦に注目してください。

サービス資料のダウンロード

私たちが提供するサービスの紹介資料です。

記事の執筆者
野澤直人
野澤 直人
代表取締役

大学卒業後、経営情報サービス会社に入社。マスコミ業界に転じ、ビジネス誌の編集責任者としてベンチャー経営者500人以上を取材。その後、海外留学関連のベンチャー企業に参画し、広報部門をゼロから立ち上げ、同社の急成長に貢献する。2010年に株式会社ベンチャー広報を創業。以来10年間でクライアント企業は400社を超える。著書に『【小さな会社】逆襲の広報PR術』(すばる舎)。

記事の執筆者
PRで経営を加速させる方法とは?広報PR5つのステップ
PRで経営を加速させる方法とは?広報PR5つのステップ
のほかの記事を読む