“生活の一部になる”ことを目指す「一般(総合)週刊誌」を知る
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“生活の一部になる”ことを目指す「一般(総合)週刊誌」を知る

~36年のベテラン広報パーソンが伝授!~

毎週発行される週刊誌は、独自視点でニュースを解説したり、速報性を重視する新聞と比べて、読者により深い情報を提供してくれるメディアです。また、広報PRパーソンにとっては、情報提供先として非常に身近な媒体ではないでしょうか。その週刊誌が、どのような体制やスケジュールで制作されているのかなど、基礎から解説します。

新聞と週刊誌の違い

新聞の多くはデイリーで発行されることから、速報性=一次情報が重視されます。週刊誌は、週単位で発行されますから、新聞よりもより深い情報=二次情報が中心です。

週刊誌は、ニュース素材を独自の観点から掘り下げた解説や、娯楽性にウエイトを置いて加工した情報を掲載します。一般週刊誌は、「読者の生活の一部になる」ことを目指して編集されています。

カバーする分野は、ニュース、社会動向、経済、文化、美容、健康、食、旅、投資、ライフスタイルなど。一般生活者の関心事を分かりやすく解説した“手頃な情報源”として位置付けられるでしょうか。

新聞社系の週刊誌として、週刊朝日、AERA、サンデー毎日(※現在、3誌とも分社化)があり、出版社系は、週刊現代、週刊ポスト、週刊文春、週刊新潮、週刊スパ、週刊アサヒ芸能、週刊大衆などが代表例です。

週刊誌の制作工程、発行スケジュールは複雑怪奇?

広報PRパーソンであっても、雑誌の制作工程を知らない方が多いかもしれません。週刊誌の制作工程は、当然新聞とは異なります。

毎週発行の週刊誌(月曜日発行)の場合は、発売の2~3週間前に企画会議でテーマを決定して取材を実施。特集記事は、1ヶ月前に決めた題材で取材します。原稿は適宜入稿され、1週間前から印刷開始。1冊綴込みの中央部分から順に印刷します。発行の5日前に当たる水曜日に最新ニュースが入稿され、表紙に近いページも印刷して完了です。

グラビアページの入稿は活版ページより数日早く、次に実用情報、小説など古くならないネタの活版ページを入稿。最後に最新ニュースや事件、事故を入稿します。週刊誌のホットなニュースが最初と最後のページにある理由は、この印刷の順番によるものです。4日前の木曜日に取次店に搬入、月曜日に店頭に並ぶスケジュールです。

そのため、ニュース性の高い(速報性のある)情報は、発行直後に提供するとメディアも喜びます。また、企画会議もありますので、翌週号のネタとしても検討してもらえます。

「編集長」は雑誌の最高責任者

まず絶対的権限を持つのは「編集長」です。雑誌を会社に例えると、編集長は社長と言えるでしょう。編集長が変わると、編集志向や誌面構成、コーナー、コラムが変わります。編集長の役割は、担当雑誌の売上を増やすこと。つまり、発行部数と広告収入を伸ばすことです。最近では、企業、組織とイベントやキャンペーンなどの事業収益にもウエイトが置かれています。

編集長の下には、企画(大・中・小特集)、トッピックス、グラビア、実用、コラムなどを担当する数名の副編集長やデスクがいて、さらにその下に、編集者がいる組織体制になっています。媒体によってですが、編集者が取材、原稿執筆をしない媒体も多く、企画が決定するとフリージャーナリスト、ライター、外部の編集プロダクションと組んで誌面を制作するケースもあります。

また、出版社系週刊誌は、新聞と違い情報を掘り下げたり、記事の面白さで読者を惹きつけることが重要となり、ニュース素材を集める「データーマン」と、データを基に記事を書く「アンカーマン」と、分業制を取る媒体もあります。

週刊誌を攻めるには、リサーチ力と想像力のある人が優位

報道傾向を見ると、新聞社系週刊誌は、新聞記者経験がある編集の方も多く、新聞報道をベースに広げ、それを掘り下げていく印象があり、出版社系週刊誌は、よりスクープ志向が強いように感じます。週刊文春や週刊新潮は、その代表格ではないでしょうか。

週刊誌の攻め方として、次のようなポイントが挙げられます。
その1)自社情報だけでなく、競合や関連情報も含め、企画として売り込むべし
その2)読者層にマッチした情報を売り込むべし
その3)発行時期に合わせた「季節」「行事」「話題」を意識、イメージして攻めるべし
その4)媒体のコーナー、コラム欄をリサーチして、ピンポイントで攻めるべし
その5)フリージャーナリスト、ライターへの売り込みも有効

トピックス1:紙とデジタルの端境期?

ここからは、最近の出版業界について解説します。2021年2月、朝日新聞の「講談社売り上げが、電子書籍・権利ビジネスで紙を上回る」という見出しに着目しました。

2019年12月から2020年11月の通期決算で、電子書籍と権利ビジネスを合わせた売り上げが、紙の出版物を初めて上回ることがわかった報道です。ここ数年、出版社はデジタルシフトを進めるため様々な取り組みを実施していますが、通年の売上が逆転したのは1つの転換点と言えるでしょう。

ただ電子書籍には、権利ビジネスや人気アニメコンテンツも含まれますので、雑誌分野だけでの逆転はもう少し先になりそうです。筆者もここ何年かは、老舗出版社や新興出版社のデジタルシフトに向けた事業戦略に注目しています。

トピックス2:テレビドラマで編集部を理解する

やはりここ数年、マスメディアにおける様々なデジタル戦略は幅を広げ、変化のスピードも速い印象です。逆に、世の中に発信されている多くのコンテンツは、まだプリントメディアからデジタルメディアへの転用が多いのも事実です。

テレビの世界では、雑誌編集部のドラマ化も人気を集めています。少し前になりますが、日本テレビ「地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子」(2016年放送)では、出版社の校閲部について、大変話題になりました。

最近では、フジテレビ系連続ドラマ「彼女はキレイだった」が放送されています。これは、2015年、韓国・MBCで放送された大ヒットテレビドラマのリメイク版です。世界30ヶ国で発売されるファッション誌「ザ・モスト」日本版編集部を舞台にしたドラマです。編集部で働く様々なスタッフの役割や編集の進行、仕事振りがドラマで登場します。編集部を知るために、楽しみながら視聴するのも有益ではないでしょうか。

『AERA』の片桐編集長が、広報PRオンラインセミナーに登壇

最後にお知らせです。ベンチャー広報主催の広報PRオンラインセミナーに、ニュース週刊誌『AERA』片桐編集長の登壇が決定しました。週刊誌の実際の攻め方や編集部体制、今の関心事について、語っていただく予定です。

『AERA』の読者層は、20~50代と幅広く、男女比が半々です。一般週刊誌の中でも、若い読者層が多く、女性のビジネスパーソンに高く支持されています。そのため、他紙と比べ、ベンチャー・スタートアップ企業のトップや若いビジネスパーソンが多く登場しています。実は、弊社代表の野澤も紹介いただいたことがあります。ですから、企業規模など問わず、多くの会社が紹介されるチャンスのある媒体です。

片桐編集長は、95年に朝日新聞社に入社。『ASAHIパソコン』や『AERA』編集部を経て、宇都宮総局で、県警キャップなどを務めました。その後、朝日新聞出版『AERA』編集部の表紙担当として、国家元首から国内外のスポーツ選手、俳優、ミュージシャンなどの人選とブッキングに取り組むほか、女性、子育て、働き方、企業から事件まで、幅広く担当。宣伝プロモーション部長を経て、2018年9月1日に『AERA』編集長に就任されました。

広報PRオンラインセミナーの詳細は、後日、弊社ホームページにてお知らせします。メールマガジン「広報PRラボジャーナル」でも告知しますので、まだ購読されていない方は、ぜひこちらから登録(無料)ください。

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記事の執筆者
三上毅一
三上 毅一
シニアPRコンサルタント・書籍プロデューサー

学校法人先端教育機構 事業構想大学院大学/地域活性と事業構想の特別講師。2019年より広報初心者のためのオンラインサロン「ゼロイチ広報」講師。PR業界歴36年。上場企業、中堅・ベンチャー企業問わず、戦略策定から広報担当者の育成までこなすベテランPRマン。豊富なマスコミ人脈を活かし広報PRの指南役として、BtoBからBtoC企業を幅広く担当、500社以上の実績を持つ。

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【媒体研究】4大ビジネス誌を攻略する
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